「適正な裁判や当事者の権利は二の次」 元裁判官が最高裁の「人事支配」を厳しく批判

弁護士ドットコムニュース / 2014年3月2日 20時1分

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33年間にわたり、東京地裁や大阪高裁など日本各地の裁判所に勤務し、最高裁判所の調査官を経験したこともある元裁判官・瀬木比呂志氏が2月27日、外国特派員協会で記者会見を開き、日本の裁判所の「病巣」を厳しく批判した。

裁判所の内部に長く在籍した人物による表立った組織批判は、異例のことだ。2月中旬に『絶望の裁判所』と題する新書を出した瀬木氏は、同書の内容を引用しながら、「最高裁長官の意を受けた最高裁事務総局が、裁判官の人事を一手に握ることによって、容易に裁判官の支配・統制をおこなうことが可能になっている」と指摘した。

そのうえで、「裁判官たちは、ヒラメのように最高裁事務総局の方向ばかりをうかがいながら裁判をするようになり、結論の適正さや当事者の権利は二の次になりがちだ」と、現在の裁判所の人事制度がもたらす問題点を批判した。

スピーチでは、最高裁長官による「大規模な情実人事」や、最高裁の暗部とされる「思想統制工作」についても触れており、組織内部の体験者ならでは生々しさが感じられる。以下、瀬木氏のスピーチの内容を紹介する。

●「思想統制工作」を自慢げに語る裁判官たち

「日本の裁判所はどのような裁判所かということですが、大局的にみれば、それは国民・市民支配のための道具・装置であり、また、そうした装置としてみれば、極めてよくできているといえます。

なぜ日本の裁判所・裁判官が、そのような役割に甘んじているのかを多角的に解き明かすのが、この書物(『絶望の裁判所』)の目的です。

私は思想的には、広い意味での自由主義者であり、また、個人主義者でもあると思いますが、いかなる政治的な党派・立場にも与してはいません。

以下、書物の内容に沿いながら、論じます。

まず、私が最高裁で経験した2つの事件について、述べます。1つは、私が事務総局民事局の局付裁判官だった時代の経験です。

ある国会議員から入った質問に対してどのように答えるかを、裁判官たちが集まって協議していたとき、ある局の課長(裁判官)がこう言いました。『俺、知ってるんだけどさ、こいつ、女のことで問題があるんだ。質問対策として、そのことを週刊誌かテレビにリークしてやったらいいんじゃないか』

もちろん彼のアイデアは採用されませんでした。(裁判官からこのような言葉が出たことに)他のメンバーはショックを受けていましたが、その課長は平然としていました。彼は、のちに出世のヒエラルキーを昇り詰め、最高裁に入りました。

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