図書館「返却ボックス」にカレーを投げ込んで逮捕「器物損壊罪」になるのはなぜ?

弁護士ドットコムニュース / 2014年3月24日 15時30分

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東京都荒川区の図書館の返却ボックスに、「カレーライス」を投げ入れ、書籍6冊を汚したとして、61歳の男が逮捕された。報道によると、警察の調べに対して、男は「カレーライスを入れたのは間違いないが、ゴミ箱だと思っていた」と供述しているという。

被害にあった図書館では、今年1月末から、出入口に設置された返却ボックスの中にカレーライスが投げ込まれる事件が相次いでいたという。すでに50冊以上が廃棄処分になっているそうだ。

今回の逮捕容疑は「器物損壊罪」だという。返却ボックスを壊したり、本を破ったりしたわけではないが、それでも器物損壊にあたるのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●「器物損壊」には心理的なものも含まれる

「器物損壊罪に該当する『損壊』というのは、通常は物理的な損壊を意味します。しかし、刑法上は『損壊』をその様に限定するのではなくて、社会通念上、その物の効用を失わせる状態にすることを意味すると考えられています」

このように尾崎弁護士は説明する。

「注意すべきなのは、『効用を失わせる』というのが、必ずしも機能的な側面からだけではなく、心理的な面からでも肯定される場合があると言うことです。

たとえば、看板を取り外して離れた場所に投げ捨てた事例もそうですし、さらに、明治時代の判例では、とっくりに放尿した行為が器物損壊にあたるとされています」

つまり、持ち主らが心理的にもそれを二度と使えないような気持ちになり、利用をやめてしまう場合も「器物損壊」に含まれるということだ。

●カレーで本を汚すのも「器物損壊」

では、「カレーで本を汚すこと」は、機能面と心理面、どちらでの「損壊」になるのだろうか。

「本についたカレーのシミや匂いなどを取り除き、もとの状態に戻すことは非常に手間のかかることです。したがって、物理的な損壊と考えても差し支えないでしょう。

加えて、多くの人は、カレーで汚れた本を読もうとは思わないでしょうね。これも、まさに『その物の効用を失わせる』ということになります」

たしかに、カレーで汚れた本をきれいにするのは、至難の業だ。たとえ回復したとしても、図書館の本にカレーのシミや匂いがついていたら、読む気や借りる気は失せる。つまり、図書館の本の効能を果たさない。だから「器物損壊罪」だったようだ。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
尾崎 博彦(おざき・ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員、同民法改正問題特別委員会 委員
事務所名:尾崎法律事務所
事務所URL:http://ozaki-lawoffice.jp/

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