公立中学校の「部活顧問」制度は違法? 「教員」視点で不満を記したブログが話題

弁護士ドットコムニュース / 2014年3月26日 10時30分

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「公立中学校 部活動の顧問制度は絶対に違法だ!!」という題名のブログが話題を呼んでいる。ブログの記述によれば、書き手は九州地方の公立中学校に勤める教員とのことで、部活の顧問制度に対するさまざまな不満を記している。

たとえば、部活顧問は、ほぼ全員強制なのに「ボランティア」として扱われる。平日は勤務時間外、土日は休日返上の部活指導をするため、ほとんど休めない。土日に4時間以上勤務すれば手当が支払われるが、1日あたりたった2400円・・・といった具合なのだそうだ。

スポーツや文化活動の部活は生徒にとって重要なものだが、指導する教員にしてみれば「仕事の一つ」という側面がある。もしこのブログが記しているような実態があるとすれば、部活の顧問制度は「違法」ということになるのだろうか。過労死など労働問題にくわしい土井浩之弁護士に聞いた。

●教員は「特殊な扱い」だが・・・

「教育公務員は法律上、賃金や労働時間について特殊な定めとなっています。そのため、部活の顧問制度そのものが直ちに違法だとはいえないでしょう。

しかし、これが民間労働者であれば、休日や時間外に働いたにもかかわらず、割増賃金などの対価を支払わないと、刑事罰の対象となります。

ただ、教育公務員について他の労働者と異なる扱いをすることが、仮に裁量の範囲内だとしても、ここまで極端な違いが許容されるのかは、疑問のあるところです」

土井弁護士はこのように指摘する。

公務員は、労働時間などがかっちりと決められているイメージがあるが、このあたりは少し話が違うようだ。部活顧問という名目なら、どれだけ働かせてもOKなのだろうか?

「いいえ。そうではありません。

たとえば、このような労働の結果、くも膜下出血や心筋梗塞等の脳・心臓疾患、あるいは、うつ病等の精神疾患に罹患した場合は、公務災害になるだけでなく、損害賠償請求が認められる場合が出てくるでしょう。

つまり、債務不履行や不法行為の観点から、公務命令の違法性が肯定される可能性がでてくるわけです」

●「現場の労働者が主張することが重要」

もしブログに書かれているような実態があるとしたら、何らかの方法で改善していかなければならないのだろうか。

土井弁護士は「労働者の権利は、現場の労働者が確信を持って正当性を主張することで、しだいに認められてきたという歴史があります」と指摘したうえで、次のような見解を述べていた。

「たとえば、団体交渉等の場で、『休日と定められた日に公務に就かない制度運用にするべきだ』と主張することは正当だ、ということは言えると思います。

言い換えると、現場の先生方が『過労死や過労自死の可能性の高い職場が、自分たちの人間らしい生活を侵害するだけでなく、子どもたちの人格の向上を目的とした公教育の場にふさわしくない』という主張をされることは、説得力があるように思います」

教育は社会全体で考えていくべき問題だ。こういった現場の悲鳴に対して、社会がどのような反応を示すのかも、日本の公教育の行く末を占う重要なポイントとなりそうだ。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
土井 浩之(どい・ひろゆき)弁護士
過労死弁護団に所属し、過労死等労災事件に力を入れている。現在は、加えて、自死問題や、離婚に伴う子どもの権利の問題にも、裁判所の内外で取り組んでいる。東北学院大学法科大学院非常勤講師(労働法特論ほか)。
事務所名:土井法律事務所
事務所URL:http://heartland.geocities.jp/doi709/

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