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違憲の「隔離法廷」で出された死刑判決…ハンセン病元患者が語る「菊池事件」の非人道性

弁護士ドットコムニュース / 2021年8月1日 8時56分

男性は3回の再審請求をおこなったが、すべて棄却。3回目の再審請求が棄却された翌日の1962年9月14日、男性は福岡拘置所に移送され、そのまま死刑が執行された。法務大臣が死刑執行指揮書に印鑑を押したのは、再審請求が棄却される前の9月11日だったという。

●39都府県から署名9293筆「空白県なくしたい」

竪山さんをはじめとする元患者らは、2012年、菊池事件の再審請求をおこなうよう検察に要請。検察が応じなかったため、竪山さんらが原告となり、再審請求をおこなわないことは違法だとして、損害賠償を求めて国を訴えた。

熊本地裁は2020年2月、原告の請求を退けながらも、特別法廷での審理はハンセン病患者であることを理由におこなわれた「合理性を欠く差別」であるなどとし、違憲と示した。判決は確定している。

しかし、竪山さんらがその後、再審請求を求める要請書を熊本地検に提出しても、応じてもらえなかったという。そこで、署名活動を始め、47都道府県のうち、39都府県から合計9293筆(7月21日時点)の署名が集まっているとのことだ。

竪山さんは「官民一体となり、ハンセン病患者を一掃しようとする無らい県運動がなければ、このような事件は起きなかった。空白県をなくし、全都道府県から1万筆以上の署名を集めたい」と協力を呼びかけた。

ハンセン病患者への差別や偏見を助長することになったとされる「らい予防法」。竪山さんをはじめとする元患者らが立ち上がり、国の謝罪や救済措置などを求めて国を訴えた裁判で、2001年5月、熊本地裁は「らい予防法」は違憲と示している。

判決が確定してから20年の月日が経過したが、竪山さんは「死してなお、故郷に帰れない遺骨がある」と語る。家族が遺骨を故郷に持ち帰れないのは、今でもハンセン病への根強い偏見が残っているためだという。

●コロナで「改悪された」感染症法…届かなかった被害者の声

竪山さんは新型コロナウイルス対策にも言及。「感染症法が改悪された」と怒りをあらわにする。

1999年に施行された「感染症法」の前文には「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要」と明記されている。

しかし、新型コロナ対策を強化するため、2月に施行された改正感染症法には、入院を拒否したり、入院先から逃亡したりした場合の罰則が盛り込まれている。

竪山さんをはじめとする元患者らは、罰則に反対する意見書を国や各政党などに宛てて1月に提出。「ハンセン病問題の反省・教訓のうえで作られた感染症法を改変するならば、被害者である私たちを呼んで話を聞いてほしい」と伝えたが、どの政党からも声がかからず、失望したという。

また、新型コロナ対策についても、「病人が第一ではなく、『病人を隔離して、社会の健康な人たちを守る』という考え方で対策が進められている。ハンセン病問題と変わらない」と批判し、次のように述べた。

「コロナに感染した人を応援する声がなく、医療従事者の支援のみが強調されることで、感染した人は『悪人』であるとみなされてしまう。本来であれば、コロナに感染した人を応援したうえで、医療従事者に対するエールを送るべき。感染症法も再度、見直すべきではないだろうか。まずは、医療と司法の世界に人権感覚を取り戻すことが必要だと思う」

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