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工藤会トップ死刑、間接証拠だけの判決をどうみるか 刑事弁護士が感じたこと

弁護士ドットコムニュース / 2021年9月1日 9時57分

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特定危険指定暴力団・工藤会(北九州市)トップの野村悟総裁に8月25日、死刑判決が下された。

野村総裁が主に問われていたのは以下の2点など。実行に直接関与したわけではないが、配下の組員に指示したとされていた。

(1)1998年に起きた元漁協組合長射殺事件について殺人罪

(2)2012年~14年に起きた3つの襲撃事件(元福岡県警警部銃撃、看護師刺傷、歯科医師刺傷)について組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)

この裁判では、野村総裁らが組員に指示をしたという直接的な証拠がなく、判決の行方が注目されていた。ナンバー2の田上不美夫会長にも同様に無期懲役が言い渡されており、両被告人とも判決翌日の25日に控訴したという。

この判決の影響をどう読み解くか。中原潤一弁護士に聞いた。

●「指示」を出していれば、実行者と同じ罪が成立

どうして事件に直接関与していないのに罪に問われるのか。まずは基本的なことを確認しよう。

「事件に直接関与していない人間であっても、指示をする等して、当該事件発生に物理的・心理的に寄与したと言える場合には、実行者と同じ罪が成立することがあります。これを共謀共同正犯と言います。

最高裁は、共謀共同正犯について、『いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて犯罪を実行した事実が存しなければならない』としています(最判昭和33年5月28日刑集第12巻8号1718頁)。

つまり、共謀共同正犯が成立するには、簡単に言えば、ある事件を発生させる目的に向かって一体となっている必要があります。実際に事件に直接関与していない人間である場合、一体となっていると言えるためにわかりやすい要素が『指示』です。

これは、明示の指示、つまり言葉で直接指示する場合の他、黙示の指示、つまり言葉に直接出さなくても、何らかのサイン等を出せば足りると考えられています」

●「直接の指示」ではなく「忖度」だったら?

暴力団のような組織では、「直接の指示」で犯罪がおこなわれる場合もあれば、指示がなくても「忖度」で犯罪がおこなわれる場合も考えられる。忖度の場合でもトップは刑事責任を負うのだろうか。

「忖度をどのように定義するかの問題ではありますが、忖度を『他人の心情を推し量る』というものに留める場合、忖度で実行したというのは、部下が『上位者はこう思っているんだろうな』と勝手に解釈して実行に移したということに他なりませんから、そこに上位者からの『黙示の指示』もあるとは言えないでしょう。

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