「生物学上の父は誰?」 精子提供で生まれた人の「出自を知る権利」どう考えるべき?

弁護士ドットコムニュース / 2014年4月4日 11時25分

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生物学上の父親が誰なのか知りたい――。そんな切実な思いを抱えつつも、叶えられない人たちがいる。戦後始まった第三者からの精子提供(AID)で生まれてきた人たちだ。

AIDは戦後直後に慶応大医学部で始まり、すでに全国で2万人が誕生していると言われている。現在、AIDで生まれた人たちが、遺伝上の父親を知る術はほとんどない。このため、「出自を知る権利」の保障を求めて声を上げる当事者も出てきた。

●「生殖補助医療」をめぐる法案が国会へ

AIDなどの生殖補助医療をめぐっては、自民党のプロジェクトチームが3月上旬、関連法案の素案を公表した。第三者からの卵子・精子の提供のみならず代理母も認める方向だが、出自を知る権利については結論を先延ばしにした。

人が自らの出自を知ることは、当然の権利のように思える。しかし海外でも、対応は分かれているようだ。スウェーデンでは当事者が精子提供者の個人情報にアクセスできる権利が保障されている一方で、フランスでは認められていないという。

出自を知る権利をめぐる議論のポイントについて、この問題にくわしい川村百合弁護士に聞いた。

●「出自を知る権利」は人権なのか?

――そもそも「出自を知る権利」は、法的に認められた権利といえるのか。

「アイデンティティを確立し、人格を形成していく上での基礎となるのが、遺伝的ルーツです。それを知りたいというのは、人間の根源的な欲求であり、その欲求の保障なくして個人の尊厳は守れません。

したがって、出自を知る権利は、幸福追求権のひとつとして、憲法上保障された基本的人権であると言えます」

――AIDで生まれた当事者には、この人権が保障されていないということだろうか。

「そういうことになりますね。近年、AIDで生まれてきた当事者の方たちが、成人後に自らの体験を語り始めました。日本弁護士連合会でも2012年、当事者の気持ちを聞くためのシンポジウムを開催しました。

AIDで生まれたことを親から知らされずに生きてきた3名の方は、親の病気や離婚などをきっかけに、ある日突然、自分の父親と思っていた人が遺伝上の父親ではないことを知らされたそうです。

そのときの衝撃を、『これまで積み上げてきた人生が土台から崩れてしまった』などと表現していました。同時に、心身の健康を害し、心の葛藤を抱えながら人生をやり直す困難を語りました。

このシンポジウムの詳細は、日弁連の機関誌『自由と正義』2012年10月号に掲載されていますので、関心のある方はご覧ください」

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