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埼玉公立小教員の残業代請求訴訟、請求棄却 裁判長「給特法はもはや教育現場の実情に適合していない」

弁護士ドットコムニュース / 2021年10月1日 13時25分

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教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員(62)が、県に約242万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟で、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)は10月1日、原告側の請求を棄却した。

石垣裁判長は判決で「多くの教員が一定の時間外勤務に従事せざるを得ない状況にあり、給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないかとの思いを抱かざるを得ず、原告が訴訟を通じて、この問題を社会に提議したことは意義があるものと考える」と付言しました。

●裁判所の判断は?

1972年に施行された「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)により、公立学校の教員には時間外勤務手当と休日勤務手当が支払われないことになっている。その代わり、基本給の4%に当たる「教職調整額」が支給されている。

「原則として時間外勤務を命じない」ことになっているが、正規の時間を超えて勤務させることができるのは、(1)生徒の実習(2)学校行事(3)職員会議(4)災害など緊急事態からなる「超勤4項目」に限るとされている。

判決は、まず、教員の職務の特殊性について言及した。例えば授業準備や教材研究、児童や保護者への対応などについて、「個々の教員が自主的自律的に判断して遂行することが求められている」と指摘。

こうした業務と校長の指揮命令に基づく業務とが「日常的に渾然一体となって行われているため、これを正確に峻別することは困難」とし、「指揮命令に基づく業務に従事した時間だけを特定して厳密に時間管理し、それに応じた給与を支給することは現行制度下では事実上不可能」と述べ、定量的な時間管理を前提とした割増賃金程度はなじまないとした。

原告側の「超勤4項目」以外の時間外労働をした場合は、労働基準法37条に基づく割増賃金を支払う必要があるという主張については、「給特法が、超勤4項目以外の業務にかかる時間外勤務について、教職調整額のほかに労基法37条に基づく時間外割増賃金の発生を予定していると解することはできない」と却下した。

●時間外労働は違法か?

次に、校長が労基法32条の規制を超えて男性に時間外労働させたことが、国家賠償法上違法であるかどうかについて検討した。

まず、給特法は労基法32条の適用を除外していないので、教員についても労基法32条の規制が及ぶとした。

ただ、給特法が教員の労働時間を定量的に管理することを前提としていないことや、校長が、校長の指揮命令に基づいて教員が働いた労働時間を的確に把握できる方法もないことから、「仮に労基法32条の定める法定労働時間を超えていたとしても、それだけで国賠法上の違法性があるということはできない」とした。

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