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女性、障害者…日本企業は「数合わせのダイバーシティ経営」から脱却できるのか

弁護士ドットコムニュース / 2021年10月9日 9時17分

ただ当時の職場は、長時間労働をいとわない男性社員が大半を占め、彼らが提示する「多様な意見」には、おのずと限界がありました。現代の企業は女性や外国人、高齢者ら、価値観もライフスタイルも異なる社員が存在する中で「真のD&I」を実現するという、かつての企業に比べてはるかに難しい取り組みが求められています。

――現代の企業が「真のD&I」を実現するためには、最も重要なことは何でしょう。

多様な社員が、自由な意見を表明しやすい職場づくりです。ときどき多様性の受容、つまりD&Iを、葛藤のない「仲良しクラブ」にすることだと誤解する人がいます。しかし「昭和」の日本企業には、左遷や辞任のリスクを背負ってでも、「会社のためにはこうすべきだ」と、上司に意見する社員がいました。

現代の企業も、大人しいだけで自律的な価値観を持たない社員の集団のままでは、新しいものは何も生まれません。社員に「職場で意見を言っても、受け入れてもらえる」という「心理的安全性」を提供し、活発に議論できる職場を作ることが大事です。

●ビジョンとパーパスを共有しないと、バラバラになってしまう

――日本企業の「強み」は、社員が力を合わせてミッションに取り組む組織力だと言われてきました。議論を戦わせるばかりでは、チームとしてのまとまりが失われてしまいませんか。

確かに、意見を言うばかりでは職場に対立を生みかねません。この時に必要なのが、「わが社は事業を通じて社会で何を実現したいのか」というビジョンと、「何のために事業に取り組むのか」というパーパスです。社員がビジョンとパーパスを共有することで、チームとしてまとまり、1つのミッションに取り組む可能性が高まります。

大企業に導入の動きが広がっている「ジョブ型雇用」(職務などの条件を明確にした上で、そのポストに人材を採用・配置する仕組み)も、社員が個々の専門性や強みに基づき自律的に仕事に取り組めるという意味で「深層のダイバーシティ」活用に適した人事システムと言えます。しかし一方で、社員が自己のミッションに向かうだけでは職場に遠心力が働き、チームがばらばらになりかねません。このため、明確なパーパスのもとに社員を束ねることが、これまで以上に重要になってきます。

――企業に求められる具体的な取り組みは、どのようなものでしょうか。

上司が部下の意思を尊重し、密にコミュニケーションを取ることがすべての基本です。1on1なども、上司ばかり発言するのではなく、部下に話の主導権を握らせてこそ機能します。このため企業は研修などを通じて、管理職に、部下の意見を傾聴し、経営に生かす力を身につけさせる必要があります。

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