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公立小教員の残業代認めず、労働弁護士が「判決は時代に逆行」と指摘する理由

弁護士ドットコムニュース / 2021年10月13日 10時11分

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教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員(62)が、県に約242万円の未払い賃金などの支払いを求めた訴訟で、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)は10月1日、請求を棄却した。

判決は付言で給特法への疑問を示しながらも、原告が労働時間と主張した業務は一部しか認めず、請求は棄却という結果になった。

この判決について、原告の男性は「残業代の支給対象になる時間外労働については、法律で厳格に定められています。しかしながら、命じることができない仕事を時間外労働で行わせています。これはどう考えても労働基準法に違反しています」と失望した。

はたして、労働問題に詳しい弁護士は、今回の判決をどう評価するのだろうか。2019年の衆議院文部科学委員会で、参考人として給特法について意見陳述もした嶋﨑量弁護士に聞いた。

●この判決の新規性は?

——今回の判決は給特法が適用される公立学校教員にも労基法32条に関する判断をしていますが、どのように受け止めていますか。

労基法32条は、使用者が法定された労働時間(休憩を除き1週40時間・1日8時間)を超えて労働させてはならないと定めた規定であり、この判決は公立学校の教員について労基法32条の解釈をしている点に新規性があります。

とはいえ、この判決は賃金請求ではなく損害賠償の判断であるのにわずかな労働時間しか認定しなかったこと、労基法32条を超える労働時間を認定しつつも労基法32条違反であるとの判断は避けたことなど、大きな問題がある判決です。

——損害賠償における判断である、というのはどういうことですか。

この裁判で原告は、労基法37条による残業代請求(主位的)と、国家賠償の損害賠償(予備的)とを請求しています。そして、主位的請求の労基法37条による残業代請求の部分については、給特法を根拠にして労働時間の認定は門前払いされ、労基法32条に関する労働時間の認定をしていません。

ですから、残念ながらこの判決によって、公立学校の教員にも直ちに残業代請求の途が開かれたとは解釈する余地はありません。今後も、是正を求める取組みが必要です。

●公立教員に時間外労働を認定する裁判例は珍しくない

——国家賠償の点では原告が主張した労基法32条に関して判断をしており、時間外労働をわずかですが認定しています。この点は、どう考えられますか。

実は、国賠損害賠償請求や公務災害の認定に関する訴訟では、これまでも公立学校教員に対して、時間外労働を認定する裁判例は珍しくありません。

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