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熱海土石流、行政の責任は? 十年前から盛土の「危険性」認識しても処分見送り

弁護士ドットコムニュース / 2021年10月22日 10時31分

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静岡県熱海市で今年7月に起きた土石流災害について、市が10年以上前から、その起点にあった盛土の危険性を認識していながら、業者に対して安全対策の実施を命じる行政処分を見送っていたことが発覚した。

この災害をめぐっては、盛土を造成した業者の責任が問われることになると考えられるが、被害者の遺族側としては、行政がしかるべき処置を取らなかったとして、国家賠償請求訴訟を起こすこともありうる。

はたして、その場合、行政の責任は認められるのだろうか。元警察官僚で行政法にくわしい澤井康生弁護士にポイントを聞いた。

●ポイントは2つある

今回のケースは、行政が積極的に行動して、損害を発生させたのではありませんが、期待される行為をしなかったという「不作為」によって、損害を発生させたといえる可能性があります。その不作為を理由とする国家賠償請求ということになります。

ポイントは2つです。

1つ目は、行政側の不作為が国家賠償法上、違法といえるか? 2つ目は、行政側の不作為と実際に発生した損害との間に「相当因果関係」があるといえるか?

この2つが重要な論点となります。

●誰が見ても「権限を行使しなきゃいけないよね」といえるか?

行政には、いついかなるタイミング、いかなる手段・態様で規制権限を行使するか否かについて、広範な裁量権があることから、規制権限の不行使があったとしても、ただちに違法となるわけではありません。

しかし、その権限を定めた法令の趣旨や目的、その権限の性質などに照らして、具体的な事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して、著しく合理性を欠くと認められるときは、国家賠償法上、違法となるとされています(最高裁平成7年6月23日判決)。

つまり、誰が見ても、「これは行政が規制権限を行使して対処しなきゃいけないよね」といえる場合には、規制権限の不行使という不作為が違法となるわけです。

●類似する事件で「違法」と認められている

今回のケースと類似する事件としては、横浜地裁令和2年1月24日判決があります。これは宅地造成等規制法違反の造成工事によって、崖崩れの危険のあった場所に台風による豪雨で崖崩れが発生し、死者が出た事件です。

被害者遺族が、危険性を認識していた自治体に国家賠償請求訴訟を起こしました。

裁判所は、自治体が業者に対して是正勧告などをおこなったものの、最後に呼び出す通知をおこなってから崩落事故が起きるまでの3年7カ月以上にわたって、何らの措置を取らなかった事実を認定しました。

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