タクシー運転手に「もっと急いで!」 スピード違反になったら「乗客」の責任は?

弁護士ドットコムニュース / 2014年5月5日 11時23分

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約束の時間に徒歩やバスでは時間に合わない・・・そんなときに頼りになるのがタクシーだ。「もっと急いで!」「スピード出して!」と、タクシーの運転手に注文したことがあるかもしれない。

電車が1、2時間に1本しか走っていない地方都市での話。目的の列車にギリギリのところで乗り遅れたNさんは、駅前にとまっていたタクシーに飛び乗った。

「いま行った電車に追いついてほしいんですが」。Nさんが頼んだところ、「やってみましょう」との返事。タクシーは一般道を時速100キロ超えで走り、その電車よりも早く、2つ先の駅に着くことができたという。

しかし、タクシーが乗客の注文通り急いだところ、スピード違反で交通違反切符を切られたり、事故の原因になることもありうる。もし、そのような事態となった場合、運転手だけでなく、客も責任を負うのだろうか。阿部泰典弁護士に聞いた。

●運転手と乗客は「正犯と教唆犯」の関係

「他人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせたら、『教唆(きょうさ)犯』として処罰されることがあります」

阿部弁護士はこう述べる。いったいどういうことだろうか?

「まずスピード違反は、道路交通法違反の犯罪行為です。これを自ら犯した者は、道路交通法違反の『正犯』となります。

実際に犯罪行為をしたら「正犯」になるわけだ。それでは、教唆犯は?

「一方、教唆犯は『一定の犯罪を実行する決意を相手方に生じさせること』です。そのための手段は問われません。

最高速度を超えなければ、電車に追いつけないことを分かったうえで、電車に追いついてほしいとタクシードライバーに頼んだとすれば、その頼む行為で、スピード違反を実行する『決意』を生じさせていることになります。

それを受けて、タクシードライバーが実際にスピード違反をすれば、頼んだ乗客には、道路交通法違反の教唆犯が成立することになります」

●教唆犯が成立しない場合とは?

ストレートに「スピード違反をしてくれ」と言わなくても、教唆犯になってしまうのだろうか?

「最高速度を超えない範囲で急いでほしいというつもりで『もっと急いで!』と頼んだところ、タクシードライバーが勝手にがんばりすぎてスピード違反を犯してしまった場合には、乗客の教唆犯は成立しません。

ただ、乗客が、できればドライバーにはスピード違反は犯してほしくないけれど、自分も急いでいるので、ドライバーがスピード違反を犯してしまってもまあ仕方がないかなあと思いつつ、『もっと急いで!』と頼んだ場合であれば、教唆犯になります」

このように述べて、阿部弁護士は注意をうながしていた。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
阿部 泰典(あべ・やすのり)弁護士
平成7年4月 弁護士登録。平成14年4月 横浜パーク法律事務所開設。平成21年度 横浜弁護士会副会長。平成24年、25年度 横浜弁護士会法律相談センター運営委員会委員長、横浜弁護士会野球部監督
事務所名:横浜パーク法律事務所
事務所URL:http://www.yokohama-park-law.com

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