中国の「船差し押さえ」は単なる「執行」の問題!? 商船三井事件をどう見るか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年4月24日 11時21分

写真

関連画像

商船三井の大型船舶が4月19日、中国の上海海事法院(裁判所)によって、浙江省の港で差し押さえられた。戦時中の財産損失をめぐる裁判で、日本企業の資産が中国当局に差し押さえられるのは極めて異例のことだとして、波紋が広がっている。

報道によると、ことの発端は80年近く前にさかのぼる。商船三井の前身の一つである海運会社が、1936年に中国の船会社から貨物船2隻を借りた。その翌年、日中戦争が勃発し、この2隻の船は日本政府により徴用されて消息不明になってしまったのだ。

その後、中国の船主の遺族が1988年、未払いの賃料など賠償を求めて提訴。2007年、上海海事法院は原告の訴えを認め、商船三井に対して、約29億円の賠償金を支払うよう命じた。商船三井は判決を不服として上訴したが、二審でも敗訴した。再審請求についても、最高人民法院(最高裁判所)により2010年12月に却下された。

船の差し押さえへの対応として、商船三井は、裁判所が決定した約29億円に金利分を加えた約40億円を、供託金という形で中国側に支払ったという。それを受けて、差し押さえが解除されたと報じられたが、そもそも今回の差し押さえをどう見るべきだろうか。中国法にくわしい森川伸吾弁護士に聞いた。

●「差し押さえ」は判決にもとづく「強制執行」の一環

――今回の「差し押さえ」はどのような経緯で行われたのでしょうか?

「今回の差し押さえは、2010年8月6日に上海市高級人民法院が第二審として下した判決(以下「2010年判決」)にもとづく強制執行手続の一環として行われました。中国の民事訴訟は二審制のため、2010年判決は日本でいう『確定判決』と同様の効力を持ちます。

2010年判決では商船三井に対して約29億円の支払いが命じられましたが、商船三井は、この支払いを行いませんでした。そこで、商船三井が所有している船舶に対して『差し押さえ』がなされたのです」

――強制連行など戦時賠償をめぐる訴訟との関係は、どのように考えたらいいでしょうか?

「戦時中の日本企業による中国人強制連行をめぐる訴訟が今年3月、中国の人民法院によって受理されました。また最近、中国政府が『1972年の日中共同声明では民間や個人の請求権は放棄していない』という公式見解をまとめた、との報道もされています。

タイミングからいえば、今回の差し押さえは、この一連の流れにつながるものと理解できます。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。23万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・口コミ弁護士検索でお悩み解決。他にも弁護士費用の見積比較・法律Q&Aなどの豊富なサービスとコンテンツで「インターネットを通じて法律をもっと身近に、もっと便利に。」

トピックスRSS

ランキング