部落差別する側にも迫り、日本人の意識を浮き彫りにしたい 非当事者の映画監督が描いたリアル
弁護士ドットコムニュース / 2022年5月26日 11時18分

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本来なかったのにあることにされ、今もあるのになくなったようにされている――。
簡単には言い表せない「部落差別」をテーマにしたドキュメンタリー映画『私のはなし 部落のはなし』が公開中だ。3時間25分にもわたる長編で、差別を受けてきた当事者の苦痛や葛藤が伝わる作品となっている。
監督の満若勇咲さんは現在35歳で、京都府内で生まれ育った。大学生になるまで「部落差別」について意識することがなかったという。そんな満若さんが、どうして部落差別をテーマに映画をつくろうと思ったのか、本人に聞いた。(ライター・碓氷連太郎)
●過去に劇場公開中止という「挫折経験」があった――何がきっかけで「部落差別」について興味を持ったのですか?
大阪芸術大3年生の実習で、牛が解体されて食肉になる過程を描いた、『にくのひと』というドキュメンタリー映画を制作したんです。「普段、自分が食べている肉は、どうやって作られているのだろう?」という純粋な興味からで、それまで「部落差別」について意識したり、関心を持つことはありませんでした。
『にくのひと』は2007年に完成して、上映会を開いていたのですが、劇場公開が決まった2010年、部落解放同盟から抗議を受けました。映画の中で屠場の住所に触れているので、そこが被差別部落だとわかってしまうということが理由の一つでした。
「公開されている情報だ」と反論したのですが、出演者との関係にもひびが入ってしまった。そのことがあったので、劇場公開を中止しました。その後はカメラマンとしてテレビ番組の制作現場にいたのですが、2016年に『全国部落調査』復刻事件というのが起きたことで、もう一度向き合ってみようと思い、裁判の傍聴に通うようになりました。
――全国の被差別部落の地名や地名職業等を記載した『全国部落調査』(昭和11年発行)の地名を現代のものに修正した「復刻版」を出版しようとした事件ですね。多くの人が抗議し、出版差し止めとウェブサイト掲載禁止を求めた訴訟も提起されましたが、なぜこの事件に興味を?
30歳までは下積みしようと思っていたのですが、ちょうど30歳になった年にこの裁判がはじまったのです。裁判の争点の一つは「地名が掲載されている」ということ。かつて僕が受けた抗議と重なる部分があったので、どういう判決が出るのかに興味を持ちました。
あとは、当時カメラマンとして、ドキュメンタリー番組に関わっていたのですが、やっぱりもう一度、監督として自分の作品を作りたいという気持ちが芽生えて。次に何をテーマにしようかと考えたところ、劇場公開できなかったという挫折経験を持つ「部落問題」を選ばなければ、その後も撮り続けていくことができないのではないかと考えたんです。
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