企業が就活生に与えた「採用内定」経営方針の変更による「取り消し」は許されるか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年5月6日 17時35分

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大学生の「就職活動」が激しい季節。携帯にかかってくる採用決定の連絡をひたすら待ち望む学生がいる一方で、複数の企業からラブコールを送られている学生もいる。

経団連の倫理憲章との兼ね合いから、いまはまだ「内々定」にとどめ、正式な「内定」は10月の内定式の際に出すという企業が多い。だが、なかには内々定にとどまらず、この時期に早くも内定を出してしまう企業もあると聞く。

内定を得た学生が抱くのは、「これで本当に就職は確約されたのか」という不安だ。「経営方針の変更」など企業側の一方的な理由で取り消されてしまえば、これまでの努力が水の泡になってしまう。

もし企業側の都合で内定が取り消されたら、法的に問題が生じるのだろうか。それとは逆に、学生が内定を辞退した場合はどうなるか。秋山直人弁護士に聞いた。

●会社は恣意的な理由で「内定」を取り消せない

――そもそも「内定」とは、法律的にどういう意味をもつのか?

「会社が学生に対して、採用内定通知書などで正式な『内定』を出す場合、会社と学生の間でどのような法律関係が発生するのかというと、最高裁の判例によれば、『始期付き解約権留保付きの労働契約』であるとされています」

――難しい言葉だが、「始期付き解約権留保付きの労働契約」とは?

「簡単にいうと、入社日(たとえば4月1日)から働くという『期限』が付いていて、かつ、従業員として不適格であることが入社日前に分かった場合には、会社の側から『解約権』を行使して内定を取り消すことがありうると『留保』している労働契約、ということです」

――どんな場合に、会社は「解約権」を行使できるのか?

「その点については、『解約権を留保した趣旨・目的に照らし、客観的に合理的で、社会通念上相当として是認できる理由があるとき』と解釈されています。すなわち、会社側の恣意的な理由で、内定を取り消すことはできないと考えられています」

●学生は「2週間の予告期間」を置けば辞退可能

――では、逆に、学生から内定を「辞退」する場合は、どう考えたらいいのか?

「内定関係は、期限や留保が付いているものの、労働契約であることには変わりがありません。そして、新卒の学生が正社員になるという場合は、『契約期間の定めのない労働契約』であることが普通です。

そして、契約期間の定めのない労働契約において、労働者は、2週間の予告期間を置けば、特段の理由を必要とせずに、労働契約を一方的に解約できるとされています(民法627条1項)。

したがって、内定関係の場合でも、学生は、2週間の予告期間を置いたうえで内定を辞退すれば、有効に労働契約を解約できます。この場合、会社に対する損害賠償の義務は生じません」

どうやら会社による理不尽な内定取り消しは、心配しなくてよさそうだ。一方で、学生は内定を辞退しても法的には問題ないという。ただもし仮に辞退しようとする場合でも、きちんと礼を尽くすことが大事なのは言うまでもない。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
秋山 直人(あきやま・なおと)弁護士
東京大学法学部卒業。2001年に弁護士登録。所属事務所は溜池山王にあり、弁護士3名で構成。交通事故等の各種損害賠償請求、企業法務、債務整理、契約紛争、離婚・相続、不動産関連、労働事件、消費者問題等を取り扱っている。
事務所名:たつき総合法律事務所
事務所URL:http://tatsuki-law.org/index.html

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