「くまモン」が出版社に抗議! ゆるキャラを無断で「マンガ」に描いたらダメなのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年5月27日 12時25分

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「ボクの知らないところでジャンプに掲載するなんてショッくまだモン!!」。熊本県の人気ゆるキャラ「くまモン」のイラストを無断でマンガに描かれたとして、「くまモン」が公式ツイッターで怒りの声をあげ、出版社に直接抗議に出向くという騒動があった。

ことの発端は、4月28日発売の『週刊少年ジャンプ』に掲載されたマンガ『ゆるキャラ伝説 くまモンじゃないヤツ物語』(うすた京介さん作)に、「くまモン」のイラストが無断で描かれたことだ。

同社は同誌公式ページに「くまモン氏にはご迷惑をおかけしたことをここに御詫びいたしますモン!!」とお詫びのコメントを発表。訂正版のマンガを掲載し、騒動は収まったようだ。なぜ、自治体のキャラクターである「くまモン」を、無断でマンガに描いてはいけないのだろうか。雪丸真吾弁護士に聞いた。

●自治体も「著作権」を持つことができる

「一言でいうと、『くまモンが著作物だから』ということになります」

こう雪丸弁護士は、簡潔に理由を述べた。

「著作物である以上、著作権者が複製権(著作権法21条)を持っています。マンガに描くことも、この『複製』にあたり、著作権者の許可なく行うと、権利侵害になってしまいます」

自治体の著作権は、公の共有財産ではないのだろうか?

「公式サイトによると、くまモンの著作権は熊本県が持っています。

地方自治体であっても著作権を持ち、その権利を行使して、他人の著作物利用を認めないことができます。

ただ、熊本県は、きちんと申請があれば広く利用許諾する方針のようで、利用申請のフォーマットをサイトで公開していますね」

つまり、マンガで利用したければ、基本的には、著作権者である熊本県の許可を取るべきだったということのようだ。

●「引用」と言えたかもしれない

今回はパロディギャグマンガに描かれていたということだが、そういった場合にも、許可を取らなければならないのだろうか?

「本件については、非常に円満に和解ができているので、これ以上論じる必要はないのかもしれません。

ただ、一般論としては、集英社が『引用』(著作権法32条1項)を主張する余地もあったように思います」

その場合の「引用」とは、どんなことだろうか?

「『引用』とは、批評や報道、研究などのため、著作物の一部を適切な形式で利用することです。もし『引用』だと認められれば、著作権者の許諾なく利用することができます。

『引用としての利用』になるかどうかは、利用目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、著作権者におよぼす影響の有無・程度などを総合考慮して、決定されます(平成22年10月13日知的財産高等裁判所判決)」

それでは、今回の場合は? 雪丸弁護士は次のように話していた。

「くまモンの可愛さについて言及している部分なので、そこに描く必要性は認められそうです。描き方も、ごく小さいコマ内で1点を白黒で描いているにすぎません。また、この利用によって、熊本県が経済的利益を得る機会を失ったともいいがたいですね。こうした点を総合考慮すると、今回は『引用』が認められるのではないでしょうか」

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
雪丸 真吾(ゆきまる・しんご)弁護士
著作権法学会員。日本ユニ著作権センター著作権相談員。慶応義塾大学芸術著作権演習I講師。2014年2月、『引用』に関する書籍『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』第3版(中央経済社)を出版した。
事務所名:虎ノ門総合法律事務所
事務所URL:http://www.translan.com/

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