建設現場であいつぐ「一人親方」の事故死――「労災」の対象にならないってホント?

弁護士ドットコムニュース / 2014年6月4日 15時5分

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個人で仕事を請け負って、建設現場などで働く「一人親方」。その過酷な実態が、厚労省の調査で明らかになった。2013年7月~12月の半年に、48人の一人親方が死亡していたのだ。同じ年、建設現場の労災事故で亡くなった人は年間366人。この数字と比べてみても、一人親方の事故死数は決して小さな数字とはいえない。

ところが、一人親方が仕事中に事故死したケースはこれまで、労災事故の統計にカウントされていなかったという。一人親方は企業と雇用契約を結んだ「労働者」と違い、自ら事業をおこなう「経営者」とみなされるためだ。

そうすると、一人親方は、労災の対象にはならないということだろうか。労働問題にくわしい波多野進弁護士に聞いた。

●労災保険の「特別加入制度」がある

「一人親方とは、主に建設業などで、自分自身(と家族など)だけで、労働者を雇用せずに事業をおこなう事業主のことです。

形式上は事業主となるため、労災保険制度の『枠外』とされています。しかし、その実態をみると、労働者に極めて近いケースもあります。

そのため、労災保険には、『特別加入制度』が用意されています。その制度を活用することで、一般労働者の労災と同種の補償を受けることができます」

一般労働者の労災との違いは、どこにあるのだろうか?

「雇用されて働く場合、労災に入るのは『雇い主』の責任ですね。しかし、一人親方には雇い主がいないため、労災制度に入るかどうかは、その事業主が決めることになります。そのため、特別加入制度に入っていない場合が往々にしてあるのです」

●「実質的には労働者だ」と認定されれば、労災が認められる

一人親方の場合、労災保険に特別加入しないケースが少なくないということだが、保険に入っていなければ労災は認められないのだろうか。

「形式的には一人親方であっても、『実質的には労働者だ』と判断され、労働者性が肯定されれば、労災補償を受けられることがあります」

その判断基準は?

「行政の先例や裁判例では、労働者性の有無について、次のようなポイントを考慮したうえで総合判断されています。

(1)指揮監督関係・裁量性があったかなかったか

(2)その業務以外の業務に従事する可能性があったかどうか

(3)報酬の性質(労務に対する対価か、仕事の完成に対する対価か)

(4)仕事を引き受けるか断るかの選択権があったかどうか

(5)仕事用の機械・器具は誰が用意していたか

(6)拘束性があったかどうか」

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