運転手がいない「グーグルカー」 事故が起きたときの責任は?(自動運転車と法・上)

弁護士ドットコムニュース / 2014年7月9日 10時54分

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ハンドルもアクセルも、ブレーキペダルもなし。目的地を入力して、「運転」ボタンを押すだけで行きたいところまで運んでくれる――。そんな本当の意味での「自動車」が現実のものとなる日が近づいているようだ。米グーグルはこのほど、2009年から開発している「自動運転車」の試作車を初めて公開した。

報道によると、グーグルの試作車は、ルーフの上に搭載したセンサーやカメラで周辺情報を集めて、人工知能を備えたコンピューターが走行を管理する。2020年の実用化を目指して、この夏から走行実験を開始するという。

気が早い話かもしれないが、もしこのような自動車が事故を起こしたら、被害者は誰に損害賠償を請求することになるのだろうか? 乗車していた人?メーカー?それとも・・・?ロボットをめぐる法律問題にくわしい小林正啓弁護士に聞いた。

●「完全自律運転自動車」の場合、メーカー責任を問うしかない

「自動車が人身事故を起こした場合、ドライバーは原則として、被害者に対する責任を負うことになっています。そのため、自動車損害賠償法に基づいて、自賠責保険への加入が義務づけられているのです。

自動車と人間を共存させるため、政策的に被害者保護を厚くしているといえるでしょう」

小林弁護士はこのように、自動車事故に関する制度について説明する。

「ただ、自賠責保険の賠償額は十分なものではありません。それ以上の賠償金を得るためには、被害者がドライバーの過失を証明する必要があります。この証明は、ケースにもよりますが、それほど難しいものではありません」

では、自動運転の場合はどうなるのだろうか。小林弁護士は、グーグルカーのように全自動で走行する「完全自律運転自動車」の場合について解説する。

「自動車損害賠償法は、ドライバーのいない自動車を想定していませんから、そもそも『完全自律運転自動車』が起こした事故には適用されません。

ですので、人身事故を起こした場合、ドライバーではなく、自動車メーカーの責任を問うことになります。

その場合、被害者は製造物責任法(PL法)に基づいて、自動車の欠陥を立証しない限り、損害賠償を請求できないのです。欠陥を裁判で証明することは、実際にはきわめて困難でしょう」

たしかに、自動車そのものの欠陥を指摘するのは、技術的な知識の乏しい一般の人にとっては簡単ではなさそうだ。

●事故率は大幅に低下するので、保険料が下がる可能性も

「これでは、被害救済が薄すぎますし、『完全自律運転自動車』の普及を妨げることにもなるでしょう。自動車損害賠償法の改正や、自賠責保険制度の改定が不可欠です。

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