「明日ママ」見ても傷つかない社会に――人権NGOが指摘する「児童養護施設」の現実

弁護士ドットコムニュース / 2014年7月15日 12時33分

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親のいない子どもや、実の親から適切な養育を受けられない子どもたちを不必要に「施設」で育てるのは人権侵害だ――。人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部・ニューヨーク)が5月に発表した報告書が、大きな話題になっている。

子どもの権利条約では、子どもは「家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべき」だとしている。また条約の履行状況をモニタリングする「国連・子どもの権利員会」も「子どもの施設入所は最終手段」であると述べている。

ところが日本では、約3万9000人(2013年)の「代替的な家庭」を必要とする子どものうち、里子として家庭に受け入れられている子は15%に満たない。9割近くが乳児や児童養護施設など施設に入所しているのが現状だ。養子という形で新たな家庭で暮らせることとなった子どもは303人(2011年、児童相談所経由)にとどまる。

なぜ、そんなことになっているのだろうか。HRW日本代表の土井香苗弁護士に話を聞いた。

●「家庭には必ずあって、施設にはないもの」とは・・・

「子どもの感じている寂しさと、それに対する大人の無関心さを見た」

土井弁護士は調査をこう振り返った。調査では、子どもの利益をないがしろにし、「大人の利益」を優先してきた政府の怠慢が浮かび上がってきたという。

「(子どもが入所する)施設の環境が良ければいいという問題ではありません。もちろん施設で虐待はあってはならないのですが、広くいじめがはびこっています。しかし、そもそも『施設である、家庭ではない』ということも大問題なんです」

土井弁護士はこのように憤る。なぜ問題なのだろうか。

「一番重要なのは、子どもが、特定の大人と1対1の関係が築けるかどうか。1対1の特定の大人との   アタッチメント=愛着  を築く環境が、家庭には必ずあります。けれど、施設の人は死ぬまでそこにいるわけではない。1日8時間労働の交代制で、1日の中だけでも、くるくる変わってしまう」

HRWの報告書は、「特定の大人と愛着関係を築くことは、子どもの年齢が低ければ低いほど、心身の発達に大きな影響を与える」として、0歳から2歳までの子どもが送られる「乳児院」の廃止を強く求めている。

●子どもが施設に入るのは「大人の都合」

日本の施設における養護は、他国と比べると突出して高い。

(ヒューマンライツウォッチ提供)

「施設への入所は最終手段」という原則は、なぜ、ないがしろにされてきたのだろうか。土井弁護士は、その原因は児童相談所など行政の姿勢にあると指摘する。

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