「捜査当局は引き返す勇気を欠いていた」 無罪になった元証券会社部長、国を訴える

弁護士ドットコムニュース / 2014年7月28日 19時27分

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約1億3000万円の所得税を脱税したとして2011年に所得税法違反で起訴され、今年2月に無罪が確定したクレディ・スイス証券元部長の八田隆さんが、国家賠償を求める訴訟を起こしている。その第1回口頭弁論が7月28日、東京地方裁判所であった。

意見陳述で八田さんは「今後、私のように無実にも関わらず告発、起訴されることにより、失われなくてもよい多くのものを失うという犠牲者が二度と生まれないよう、なぜこの不当な告発、起訴がされたかの責任を明らかにしていただきたい」と求めた。

また、国家権力とメディアの関係にも触れ、「なぜ2009年12月にされていた告発が、それから2カ月も経過して、確定申告シーズン真っ最中の2010年2月にメディアに一斉報道されたのか。それは、宣伝効果を期待した意図的な国税局によるリークなくしてはありえないものです」と批判した。

八田さんはストックオプションの行使によって手にした報酬を申告せず、所得税約1億3000万円を脱税したとして、2011年に起訴された。東京地裁は「故意の脱税ではない」として無罪を言い渡し、東京高裁も検察側の控訴を棄却した。今年2月、検察側が上告を断念し、無罪が確定。八田さんは5月、国税局と検察の告発、起訴が違法だったとして、国に5億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

●今回の提訴は「えん罪」を生み出さないための「抑止力」

この日の口頭弁論後、八田さんは司法記者クラブで記者会見を開いた。八田さんは「検察は、集めた証拠から無罪になるとわかっていた。こういったことが二度とおこらないよう、国家の不法行為に対する抑止力になると考えている」と訴訟の意義を語った。

「当事者になるまでは、えん罪や刑事司法というものに知識も関心もなかった」という八田さん。しかし、刑事被告人という当事者になることで、えん罪にパターンがあると気づいたという。

八田さんによると、捜査当局による初動ミスがあったことに途中で気づいても、引き返す勇気が欠如しているため、無理やり起訴することになるという。その結果を裁判所が追認することで、えん罪が起きるそうだ。

八田さんは「私の事件でも初動ミスは仕方なかったと思う。しかし、間違っていることがわかっても、捜査当局は引き返すことができなかった。(無罪判決は)彼らにとって反省の機会だったと思う。真摯に受け止めてほしい」と述べた。

代理人の1人である郷原信郎弁護士は、「八田さん個人の問題ではなくて、国税・検察の体面の問題だ」と指摘。「どうしてこんな無茶なことをしてしまったのか、途中で引き返せなかったのか、原因を徹底的に明らかにする必要がある」と強調した。

(弁護士ドットコム トピックス)

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