<三鷹ストーカー殺人事件>無期求刑より軽い判決「懲役22年」は妥当だったのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年8月4日 17時30分

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なぜ無期懲役にならなかったのか――。東京都三鷹市で昨年10月、高校3年の女子生徒を刺殺したとして、殺人罪などに問われた元交際相手の池永チャールストーマス被告人(22)の裁判員裁判で、東京地裁立川支部は8月1日、懲役22年の判決を言い渡した。検察は無期懲役を求刑していた。

この事件について、池永被告人がストーカー行為を繰り返した末の殺害であることに加え、交際中に撮影した女子生徒のプライベートな写真を事件前後にインターネットに流出させた「リベンジポルノ」もあって、その悪質性が注目されていた。

報道によると、女子生徒の父親は「判決に失望した。裁判所は被害の大きさを全く理解していない。死刑か無期懲役が基本で、裁判所は最低でも無期に処するべきだった」とのコメントを発表。遺族は検察側に控訴を求めている。一方で、弁護側も量刑が重いとして控訴を検討しているという。

今回の判決は果たして妥当なものだったのか。裁判官をつとめた経験をもつ田沢剛弁護士に聞いた。

●「リベンジポルノが判決に影響を与えたかは疑問」

「裁判所は、男女関係のトラブルで1人が殺害された他の事件と比較した結果、『量刑の幅の上限付近に位置付けられる』としつつも、『無期懲役とまでは言い難い』と説明しています」

このように田沢弁護士は切り出した。とても微妙な判断のようだが、どうしてこうなったのか。

「今回の判決が『虐待を受けるなどの成育歴が一定程度事件に影響した』『まだ若く、前科前歴もない。更生可能性もある』などといった池永被告人の事情を酌み取ったのであれば、もう少し軽い量刑になっていても不思議ではないように思います。

しかし、裁判所は、本件の刑事責任の度合いについて、量刑の幅の上限付近と位置付けています。ストーカーに対する社会の厳しい目や、殺人事件に対する最近の重罰化傾向を考慮したようです。その意味では、極刑を求めた遺族の処罰感情が影響を与えたことも否定はできません」

社会的な背景が量刑に反映されているようだ。では、「リベンジポルノ」の流出も影響したのだろうか。

「今回の判決では、『リベンジポルノ』の流出も糾弾しています。ただ、裁判所はリベンジポルノの流出自体は『起訴されていても名誉毀損罪にとどまる』ことから、『無期懲役刑の選択を基礎付けるものとまでは言い難い』と判断しています。最終的な結論にどれだけ影響を与えたのかは疑問です」

殺人と直接的な関係はない「リベンジポルノ」自体が、どこまで影響したのかは不透明なようだ。

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