「遺書」は誰のもの? 小保方さんにあてられた「笹井氏の言葉」は公表されるのか

弁護士ドットコムニュース / 2014年8月7日 20時1分

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「STAP細胞」論文の共同著者だった理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が8月5日午前、神戸市内で死亡した。理研によると、研究メンバーらにあてた遺書が複数見つかっているという。

5日午後の理研広報室長の記者会見では、「遺書の内容は公表されるのか?」という質問が報道陣からあがった。理研広報は6日、弁護士ドットコムの取材に対して、「笹井氏の遺族の意向により、理研からは遺書を公表しないと決めた」と話した。

だが、そもそも遺書は、誰のものなのだろうか。笹井氏は、小保方晴子ユニットリーダーにあてた遺書を残したとされているが、それは小保方リーダーのものではないのだろうか。残された遺書を公表するかどうか、決める権利は誰にあるのだろうか。齋藤裕弁護士に聞いた。

●遺書を公表できるのは誰なのか?

「小保方リーダーあての遺書は、筋論としては、小保方リーダーが取得すべきものでしょう。しかし、法的にはご遺族(相続人)のものとなると思われます。まだ、発送されていない状態の手紙だからです」

齋藤弁護士はこう述べた。法的に遺族のものになるということは、遺書の中身を公表するかどうかも、遺族が決めることになるのだろうか。

「ご遺族にも、中身を公表するかどうか決定する権利までは、認められないと思います。情報を公表することは、原則として自由だからです」

●「敬愛追慕の情」は尊重される

では、他の人が勝手に公表しても良いということだろうか。

「他人が勝手に遺書を公表した場合、『敬愛追慕の情』が侵害されたことを理由に、損害賠償の問題になることがあります。笹井氏に対してご遺族が抱く『敬愛追慕の情』は、法律的に尊重されるからです」

たしかに、遺書を勝手に公表されたら、「故人に対する思いを傷つけられた」と感じる人もいるだろう。

「遺族の『敬愛追慕の情』が侵害されたとして、損害賠償を認めた裁判例は、東京高裁昭和54年3月14日判決など、多数あります」

すると、今回の理研の対応は・・・?

齋藤弁護士は「理研が笹井氏のご遺族の意向を尊重して、遺書を公表するかどうかを決定しているとしたら、それはご遺族の『敬愛追慕の情』を尊重した措置であり、妥当だと思います」と話していた。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:新潟合同法律事務所
事務所URL:http://www.niigatagoudou-lo.jp/

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