ろくでなし子事件で注目される「わいせつ」とは何か? 参考にすべき3つの最高裁判例

弁護士ドットコムニュース / 2014年8月17日 14時15分

写真

関連画像

女性器をテーマにした作品をつくって世に問うてきた芸術家「ろくでなし子」さんが7月中旬、警視庁に逮捕された事件は、社会に大きな波紋を広げた。自らの女性器をスキャンし、3Dプリンタで出力するためのデータを送信した行為が、「わいせつ電磁的記録媒体頒布罪」に該当するとされたのだが、起訴に至らぬまま釈放された。

釈放後の記者会見で、ろくでなし子さんは「自分の性器を『わいせつ』だと思っていません」と述べ、犯罪行為はしていないと強調した。この発言を受けて、ネットでは「わいせつとは何か」の論争が起きた。「性器はわいせつだ」「芸術だからわいせつではない」と賛否両論が飛び交っている。

「わいせつ」をどうとらえるかは人それぞれだろうが、刑事事件として重要なのは、裁判所がわいせつについて、どう考えているのかという点だ。そこで、「わいせつ」の定義をめぐって争われた、3つの代表的な最高裁判例を振り返ってみよう。

●チャタレイ事件(最高裁昭和32年3月13日大法廷決定)

チャタレイ事件は、イギリスの小説『チャタレイ夫人の恋人』を、1950年に日本で出版した出版社の社長と、小説を翻訳した翻訳家が「わいせつ物頒布罪」に問われた裁判だ。

もともと『チャタレイ夫人の恋人』は、イギリスの小説家D・H・ローレンスが1928年に発表した小説。戦傷により半身不随となった貴族の妻が、領地で森番をしている男と恋に落ちるという内容だ。当時としては露骨な性描写で、本国イギリスでも物議をかもした。

この裁判で示されたのが、次の「わいせつ3要件」という基準だ。

(1)いたずらに性欲を興奮または刺激すること

(2)普通人の正常な性的しゅう恥心を害すること

(3)善良な性的道義観念に反すること

この3要件の判断方法について、最高裁は、その時々の「社会通念」にしたがって、裁判官が行うとしている。

つまり、写真や小説が「わいせつ物」かどうかは、裁判官がこの3つの要件に当てはめて考えるということだ。

最高裁は1957年、『チャタレイ夫人の恋人』について、この基準に照らして「わいせつ」文書だと判断し、翻訳家と出版社社長を有罪とした。その後、『チャタレイ夫人の恋人』は問題の部分を伏字にして出版された。最高裁決定から約40年後の1996年、ようやく完訳版が新潮文庫として発行された。

●悪徳の栄え事件(最高裁昭和44年10月15日大法廷判決)

この事件も、小説がわいせつ物にあたるかどうかが争点だった。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。23万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・口コミ弁護士検索でお悩み解決。他にも弁護士費用の見積比較・法律Q&Aなどの豊富なサービスとコンテンツで「インターネットを通じて法律をもっと身近に、もっと便利に。」

トピックスRSS

ランキング