自動車ナンバーで客の居住地域をつかむ――そんなシステムは「プライバシー侵害」か?
弁護士ドットコムニュース / 2014年8月18日 14時25分

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パチンコ店の駐車場に入ってきた車のナンバープレートをカメラで撮影し、ナンバーを自動車登録情報(車検証情報)と照合することで、客がどこから来たのかを分析する――。そんなシステムが発売されたと、毎日新聞が報じている。
毎日新聞によると、システムは東京都内の駐車場コンサルタント会社が開発。埼玉県戸田市のパチンコ店で今年2~3月に約1万台のデータを分析したところ、4割の客が事前に推定していた「商圏」以外の地域から来ていたことが分かった。こういったデータを活用して、広告チラシの配布や誘導看板の設置に役立てることができるという。
撮影したナンバーを自動車検査登録情報協会(自検協)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)に送信すれば、車検証に記載された車種やメーカーに加え、町名と大字までの住所を知ることができる仕組みになっている。
このコンサルタント会社は、丁目や番地、氏名は省かれていることから、「個人情報にはあたらない」と説明しているが、プライバシー侵害などの法的問題は生じないのだろうか。小林正啓弁護士に聞いた。
●登録情報の公開には「一定の合理性」がある「報道を見る限り、このビジネスがただちに違法ということにはならないでしょう。
なぜなら、道路運送車両法に基づき、特定の事業者に一定の範囲で、オンラインによる自動車登録情報の公開が行われているからです。
もともと、2006年の法改正前は、普通自動車の登録情報は、全部が公開されていました。誰でも、陸運局に行けば閲覧することができました」
なぜ自動車の登録情報は、公開されているのだろうか。
「事故が起きた場合の刑事責任の所在をはっきりさせるという意味もありますが、それ以外にも、自動車をめぐる取引の安全や迅速性を図る、という意味もありました。このような社会的要請からすれば、自動車登録情報の公開には、一定の合理性が認められていたと考えられます。
一方、国民のプライバシー意識の高まりや、『悪用事例の多発』もあって、現行の一部公開制度に改められました」
●所有者の特定をめぐる「プライバシー」の問題では、現在の仕組みにはどんな問題があるのだろうか。
「様々な立場から批判されているのが現状です。
1つ目は、『プライバシーの保護が足りない』という批判です。国土交通省は、『所有者の住所は大字までしか公開されないから、プライバシーの保護は十分だ』という立場ですが、『車種や型式もあわせて公開される以上、住所が大字まで公開されれば、所有者は簡単に特定できてしまう』という批判があります。
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