「カジノを解禁しても日本人は利用禁止にすべき」 厚労省の方針は不当な「差別」か?

弁護士ドットコムニュース / 2014年8月26日 18時44分

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外国人はOKだけど、日本人はダメ――。厚生労働省は、2020年の東京五輪に向けて政府が検討しているカジノ解禁について、日本人の利用を認めないよう関係府省に働きかける方針だと、報じられている。

時事通信によると、厚労省は、統計上、日本人がパチンコなどのギャンブルに比較的のめり込みやすい傾向があるとして、カジノ解禁によってギャンブル依存症患者が増えることを懸念しているのだという。

日本国内で営業しているカジノなのに、日本人が利用できないのは不思議な感じもする。こういった方針は差別にならないだろうか。秋山亘弁護士に聞いた。

●憲法14条の「平等原則」に違反する?

「今回報じられている厚労省の方針は、日本国籍を有するか否かで、国内で営業するカジノへの入店の可否を区別するというものです。これは『法の下の平等』を定めた憲法14条の問題ととらえることができます」

秋山弁護士はこう切り出した。たしかに憲法14条では、人種などによる差別が禁止されている。では、厚労省の方針は、差別にあたらないのだろうか。

「結論からいうと、憲法14条に違反するものとは考えがたいでしょう。

なぜなら、憲法14条は、合理的な理由がない『差別』を禁止していますが、合理的な根拠にもとづいた『区別』は禁じていないからです」

つまり、日本人はカジノを利用できないというルールをつくったとしても、それが合理的な根拠がある「区別」といえるならば、差別にはあたらないということだ。では、カジノの場合、どのような根拠があるのだろうか。

●「国民の健全な経済的生活の風習」を害するかどうか

「そもそも日本では、『国民の健全な経済的生活の風習』が害されるからとして、カジノ営業が長らく禁止されてきました。

たとえば、ギャンブルに依存することで、借金を作ったり、家族を失ったり、犯罪に手を染めてしまったりという弊害が考えられます。つまり、カジノ営業を無制限に認めてしまうと、健全な社会生活を営むことができなくなる人が増える、ということですね。

もし国内カジノが解禁されると、国民の生活にとって身近な場所に存在することになります。それは本来、懸念されていた『国民の健全な経済的生活の風習』が害されることにつながるおそれがあります」

しかし、安倍政権はカジノ構想を観光客誘致の目玉政策の一つとして位置づけている。厚労省も、あくまでカジノ解禁自体には反対していないようだが・・・。

「カジノへ入店できる客を外国人に限定すれば、『国民の健全な経済的生活の風習』を害することにはなりません」

秋山弁護士はこのように説明したうえで、「日本人が国内カジノを利用できなくても、相応の合理的な根拠がある『区別』といえます」と結論付けていた。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
秋山 亘(あきやま・とおる)弁護士
民事事件全般(企業法務、不動産事件、労働問題、各種損害賠償請求事件等)及び刑事事件を中心に業務を行っている。日弁連人権擁護委員会第5部会(精神的自由)委員、日弁連報道と人権に関する調査・研究特別部会員。
事務所名:三羽総合法律事務所


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