飲み会帰りのタクシーで「嘔吐」 クリーニング代を支払う必要はあるか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年4月10日 20時23分

このように、タクシーで嘔吐した場合には、乗客は運転手やタクシー会社から賠償を求められても致し方ないということだ。では、実際に弁償するとしたら、その費用はいくらになるのだろうか。

「業者間によって違いはあると思いますが、嘔吐物などのクリーニング費用は、後部座席(2~3座席)に限ると、せいぜい1万円から3万円程度 といってよいかと思います」

このように説明したうえで、本橋弁護士は次のように指摘する。

「もっとも、実際には、タクシー会社や個人タクシーの運転手さんは、後部座席には撥水性のあるシートカバー等を設置しており、また、泥酔客への対応策としてエチケット袋なども用意しているのが通例です。

そして、後始末も運転者ご自身でなされているのが通常と思いますので、程度問題ではありますが、クリーニングを有償で業者に依頼している実態は殆どないのではないかと思います。

また、タクシーの運転手さんから『迷惑料』を求められた場合には、礼儀として何らかのお金を包むこともあり得ると思いますが、法的義務とは言えません。タクシーの運転手がどうしても、というのならば訴訟を起こして判決を出してもらうしかないことになります」

タクシーの運転手がその場で、「迷惑料」という名目で、法外な金銭を要求してきた場合には、断っても法的には問題はないようだ。

●原則的に、タクシー運転手は乗車拒否ができない

一方、泥酔者を乗せたという意味で、運転手に非はないのだろうか。本橋弁護士によると、「タクシーの運転手さんは原則的に乗車拒否ができないことになっています(道路運送法13条)」という。

「ただし、正当な理由があれば乗車を断ることはできます。『正当な理由』の一つとして、『泥酔者または不潔な服装をした者等であって、ほかの旅客の迷惑となるもの』(自動車運送事業等運輸規則第13条)という規定があります。

酩酊して車内を汚損する可能性ある人は、この規則に該当するので、運転手さんは乗車を断ることができます。もっとも、理屈はともかく、実務上はなかなか乗車拒否は難しいのではないかと思われ、運転者さんのご苦労がうかがわれるところです」

酔っぱらいがタクシーに乗車できるというのは、実は「ありがたい」ことなのかもしれない。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

【取材協力弁護士】
本橋 一樹(もとはし・かずき)弁護士
1962年、東京都世田谷区生まれ。94年に弁護士登録(東京弁護士会)。東京を拠点に活動。2004年から2008年にかけて、非常勤裁判官(民事調停官)を務める。得意案件は離婚、遺産相続、消費者被害、建築紛争など。趣味は時代劇やオーディオ。
事務所名:本橋一樹法律事務所


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