朝日新聞・木村社長が「吉田調書」報道で謝罪 「読者の信頼を大きく傷つけた」

弁護士ドットコムニュース / 2014年9月11日 19時59分

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東京電力福島第一原発事故で現場対応の責任者だった吉田昌郎所長(当時)が、政府の事故調査・検証委員会の調べに対して答えた「吉田調書」をめぐる報道で、朝日新聞社は9月11日夜、緊急の記者会見を開いた。独自に入手した「吉田調書」をもとに、「福島第一原発の所員の9割が吉田氏の待機命令に違反して、福島第二原発に避難した」と報じた記事を取り消し、謝罪した。

同社の木村伊量社長は記者会見で、「社内で精査した結果、(吉田証言に関する)評価を誤っていたことが分かった。『命令違反』という言葉を使ったため、所員が逃げ出したという印象があり、間違った記事と判断した。『命令違反で撤退した』との表現を取り消すとともに、関係者に深くお詫びします」と述べた。

処分として、杉浦信之・取締役編集担当の「編集担当」を解く。木村社長自身の進退については、「読者の信頼を大きく傷つけ、経営トップとしての責任は逃れられない。編集部門の改革に大筋の道筋をつけた後、進退について決断したい」と述べ、辞任を示唆した。

朝日新聞は5月20日付の朝刊で、「所長命令に違反、原発撤退 福島第一、所員の9割 政府事故調の『吉田調書』入手」の見出しで、「スクープ記事」を掲載。東日本大震災後の2011年3月15日午前、原発にいた所員の9割が吉田氏の待機命令に違反して、10キロ離れた福島第二原発に避難したと報じた。同社が入手した調書のなかで、吉田氏が「2F(第二原発)に行けとは言ってないんですよ」と述べていたことなどを根拠にしていた。

しかし、「命令違反」で福島第二原発に避難したことについて、疑問を投げかける報道が相次いだ。読売新聞も8月30日付の朝刊で、独自に入手した「吉田調書」の分析内容を報道。吉田氏は「よく考えれば(放射線量の低い)2Fに行った方がはるかに正しいと思ったわけです」と答えており、「命令違反」や「撤退」にあたる記述は見当たらなかったという。

会見が開かれる前の同日午後4時、政府は、「吉田調書」の内容を内閣官房のホームページで公開した。菅義偉官房長官は記者会見で、公開に踏み切った理由について、「断片的に取り上げられた記事が複数の新聞に掲載され、一人歩きするという本人の懸念が顕在化した」「このまま非公開とすることで、かえって本人の遺志に反する結果になると考えた」と発言。政府が「吉田調書」を公開したのにあわせて、訂正を発表した形だ。

(弁護士ドットコムニュース)

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