キックボクシングの練習中に相手が死亡 「格闘技」でケガをさせたら犯罪になるの?

弁護士ドットコムニュース / 2014年10月24日 21時30分

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公園でキックボクシングの練習をしていた際に、相手をしていた友人を殴って死亡させたとして9月中旬、27歳の男性が大阪府警に逮捕された。

報道によると、この男性がグラブを、友人がヘッドギアとグラブを付けて練習していたが、30分練習したところで友人が倒れた。男性は警察の調べに対し、「ストレートが顔の正面に入った」などと話しているという。男性はジムに数回通ったことがあったが、友人は初心者で、ダイエット目的で練習をしていたそうだ。

今回の事件、警察は「傷害致死罪」の容疑で捜査しているというが、そもそも殴ったり蹴ったりは格闘技につきもの。一般論として、格闘技の練習をしている場合でも、相手を殴ったら「犯罪」になってしまうのだろうか。プロ格闘家としてリングでも活躍している堀鉄平弁護士に聞いた。

●スポーツは「正当な業務」とみなされるが・・・

「一般論として、ボクシングのような危険性を伴うスポーツで殴り合って、相手に傷害を負わせても、犯罪とはなりません。

刑法35条では『・・・正当な業務による行為は、罰しない』と定められています。そして、スポーツであるボクシングは『正当な業務』として、正当化されます。

しかし、今回のようなケースは、そう単純に割り切れるとは限りません」

どうしてだろうか?

「昭和62年(1987年)の大阪地裁の裁判例では、空手の練習中に死亡事故が起きてしまったというケースで、次のような考え方が示されています。

スポーツの練習中の加害行為が、被害者の承諾に基づく行為として、その違法性がないと判断されるには、練習の方法・程度が、社会的に相当であると是認するに足りる態様のものでなければならない」

つまり、練習方法や練習内容が、スポーツの練習としてふさわしい内容だったかどうかが、問われるわけだ。

「大阪地裁の裁判例では、被害者の胸部・腹部・背部等を皮製ブーツを着用した足で多数回足蹴りし、手拳で数十回にわたり殴打していたと、事実認定しました。そのうで、それが危険な方法・態様の練習であったとして、傷害致死罪の成立を認めています」

●練習内容は「社会的に相当」だったか?

今回のケースについては、どうだろうか?

「本件では、亡くなった友人は格闘技の初心者で、ダイエット目的で練習に参加していたということです。

たとえ当たり所が悪かったのだとしても、ダイエット目的の練習中に、友人を死亡させるような強い打撃を加えることは、打撃の方法・程度として常軌を逸していると判断される可能性は十分あります。

そうすると、男性の行為が社会的に相当な行為とは認められず、違法性が認められる可能性・・・つまり、犯罪が成立する可能性は十分に考えられるでしょう」

堀弁護士はこのように指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
堀 鉄平(ほり・てっぺい)弁護士
闘う弁護士として総合格闘技の試合に出場し、平成20年3月より前田日明主催「THE OUTSIDER」に継続参戦中。2度の眼窩骨折の手術を乗り越え、現役を続行し、平成23年5月よりRINGSとプロ契約(MMA戦績:2008年-2014年 プロ・アマ通算戦績 13勝10敗3分)
事務所名:弁護士法人Martial Arts
事務所URL:http://www.martial-arts.jp/

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