同棲中の彼女が勝手に「バイク」を売ってしまったら――店から取り戻せる?

弁護士ドットコムニュース / 2014年10月30日 20時1分

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「彼女に勝手にバイク売られたった」。こんなタイトルのついたネット掲示板のスレッドが、注目を集めた。

書き込みによると、同棲中の彼女が、投稿者のバイクを勝手に売っていたというのだ。結婚するつもりで互いに印鑑はまとめて管理していたという。バイクは業者に50万円で買い取られ、彼女はそのお金で豪華な食事をしたり、高級ブランドのバッグを買ったということだ。

バイクの売却には本人確認が必要なため、この書き込みは「釣り」(嘘)ではないかという声もある。今回の真偽は不明だが、同棲相手に自分の持ち物を売られたという話はしばしば耳にする。では、同棲相手に、持ち物を勝手に売られてしまった人は、買った人に対して「返してくれ」と要求できないのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。

●「代理権」があたえられていれば・・・

「バイクは彼女の所有物ではありませんから、彼女は勝手に売却することはできません」

大久保弁護士はキッパリとこう述べた。

「もし、彼女が投稿者から正式に『バイクの売却についての代理権』を与えられていれば、話は別です。その場合なら、彼女が投稿者の代理として、バイクを売却することが可能です。

しかし、『勝手に売られた』というのであれば、代理権が与えられたとは言えないでしょう」

ということは、バイクはどうなるのだろうか?

「今回のケースで言えば、代理権を持たない彼女がバイクを売っても、バイクの所有者は投稿者のままです。

したがって、所有者である投稿者は、業者に向かってバイクを返せということができます。しかし、『表見代理』が成立すれば、話は別です」

●取引した人を保護する「表見代理」とは?

聞きなれない言葉だが、「表見代理」とはいったい何なのだろう。

「『表見代理』は、ごく簡単に説明すると、一見きちんとした代理がされている場合に、それを信じて取引した人を保護する制度です。

表見代理が成立したら、取引によってバイクの所有権が買い取り業者に移ります。つまり、バイクを取り返すことができなくなるのです」

表見代理が成立するのは、どんなときだろうか。

「民法にはいくつかの類型が定められていますが、同棲中の彼女がバイクを勝手に売ったというケースで考えられるとすれば、110条の表見代理でしょう。

110条の表見代理は、何らかの代理権を持つ人が、その権限を越えて代理行為をするケースを想定しています。

今回のケースでいうと、(1)『基本代理権』が彼女にあったこと、(2)買い取り業者が、彼女に代理権があると信じたことについて『正当な理由があった』つまり、無過失であったことが必要です。

同棲中の彼女が、投稿者の実印の場所を把握し、いつでも持ち出せたというなら、何らかの『基本代理権』が彼女にあったと判断される可能性があります。

しかし、バイクには登録制度があります。登録がされているバイクについて、本人確認がされていないということであれば、中古買い取り業者が無過失であった、つまり、『正当理由があった』とは言えず、表見代理の成立は否定されるでしょう」

大久保弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
大久保 誠(おおくぼ・まこと)弁護士
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。
事務所名:大久保法律事務所
事務所URL:http://www.ookubolaw.com/

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