兵庫県が条例で「自転車保険」の加入義務づけへ 「罰則なし」でも効果はあるのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年11月17日 16時35分

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自転車に乗る人に保険加入を義務づける——。兵庫県がそんな条例案の検討を進めている。県の担当者によると、早ければ来年2月にも県議会に条例案を提出する。成立すれば、全国で初めて、自転車保険を義務化することになる。ただし、加入しなくても、罰則はない。

背景には、自転車と歩行者の交通事故の増加がある。兵庫県の場合、2004年から2013年までの10年間で、2倍近くも増えている。昨年は、神戸市内で女性を自転車ではねた児童の保護者に、高額な損害賠償を命じる判決もあった。

そんなことから、万が一に備える「自転車保険」への関心が高まっているが、自動車と違って「任意保険」しかないため、まだまだ普及しているとは言いがたい。兵庫県が昨年秋に調べたところ、県内の自転車保険の加入率は24%にすぎなかった。

兵庫県は今後、保険会社の公募を通じて、年間1500〜2000円の保険料で、けがをさせた相手への賠償金を補償する自転車保険を新設する方針だという。

今回の条例案については「法律で義務化すべき」といった意見や「罰則がない時点でザルだ」という意見もあるが、交通事故にくわしい弁護士はどう見ているのか。重長孝志弁護士に聞いた。

●「罰則がないからといって、機能しないわけではない」

「もしものときに役立つにもかかわらず、自転車保険の加入率が低迷しているのは、その認知度が低いことや保険料の負担感にあると考えられます。

しかし、自転車保険の保険料は、年間数千円程度です。自動車保険にくらべれば決して高い金額ではありません。

今回の条例制定をきっかけに、自転車保険の必要性や保険の内容についての認知度が高まれば、罰則がなくても加入しようと思う人が増えるのではないでしょうか」

重長弁護士はこのように期待を込める。一方、罰則がないことで、あまり効果が出ない可能性もあるのではないだろうか。

「罰則のない法律や条例は、今回の条例案に限ったものではありません。

そのような法律や条例でもきちんと守らなければ、行政上の許可が下りなかったり、条例違反が原因となって損害が発生した場合に『民事上の責任の根拠』となって、賠償を命じられることがあります。かならずしも罰則がないからといって、機能しないわけではありません。

そもそも罰則を設けることは、ある意味で、市民の行動の自由を制限し、人権侵害にもつながるおそれがあります。罰則がなくても、政策目的が実現できるならば、わざわざ設けるべきではないでしょう」

重長弁護士はこのように指摘していた。

最近は、ちょっとした自転車ブームの感がある。しかし、もし歩行者に大ケガを負わせるようなことがあれば、相手だけではなく、自分や家族にも想像以上の金銭的・心理的な負担がかかる。条例がなくても、自転車保険について調べておいたほうがいいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
重長 孝志(しげなが・たかし)弁護士
隼綜合法律事務所 所長弁護士
事務所名:隼綜合法律事務所
事務所URL:http://hayabusa-legal.com/

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