「アイドルがグローバル資本主義の『負け組』を救う」境真良氏が語る「国富論」(上)

弁護士ドットコムニュース / 2014年12月6日 10時31分

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「現代アイドルは、日本のグローバル資本主義の精神的インフラだ」。アイドルについて研究を続けてきた国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)の境真良・客員研究員はそう語る。経済産業省の現職官僚でもある境氏は、最近の著書『アイドル国富論』(東洋経済新報社)で、アイドルこそが競争社会で崩れ落ちそうな「ヘタレ」な人たちを救うのだ、と主張している。なぜアイドルが「インフラ」となりうるのか、境氏に聞いた。(取材・構成/新志有裕)

●中産階級の自尊感情が欠落すると、社会不安を招く

——なぜ「アイドル論」を書こうと思ったんですか?

「アニメの場合、キャラクターには実体がないので、コンテンツを作った人間がどのようにもいじることができますよね。でも、それだと少し面白くない、と思ったんです。アイドルの場合だと、キャラクターを演じている人がいて、プロデューサーがいます。その緊張関係があることが面白いんです。

かつて僕がのめり込んでいた『おニャン子クラブ』のような1970〜80年代のアイドルと、今のアイドルはあまりにも異なっています。僕らの『強いもの』『カッコいいもの』『完成度の高いもの』への感覚が変わったのです。かつてのアイドルは、欠点やアンバランスなところがあったのですが、今のアイドルは完成度の高いものとして作られています。

1990年代はどんどん洗練される方向に向かっていきました。しかし、さらに純化してKポップのような方向に進んでいくのかと思いきや、日本のファンはその方向性を拒否しました。

日本のアイドルファンはなぜブレているのか、ということから、今回の研究が始まりました。アイドルを取り巻く消費者の生態系の変化に注目しています」

——消費者の意識はどう変化してきたのでしょうか?

「2000年代以降、日本社会はさらなる競争主義に向かいました。しかし、競争主義の中で自尊感情を持って生きていたいという中産階級の想いがまた強くなったように思っています」

——それが境さんが著書の中で書いている「ヘタレマッチョ」でしょうか?

「そうですね。彼らは、本来、社会の勝ち組にはなれないという冷静な自己認識がある『ヘタレ』なのですが、同時に市場主義や競争を受け入れ、向上心を持った『マッチョ』でもあります。ですから、努力しつつも常にてっぺんにはなれないという状況の中で、自尊感情の低下とうまく付き合う必要があります。

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