亡くなった人の「暗号日記」ネットの集合知で解読——そこに潜む「リスク」とは?

弁護士ドットコムニュース / 2014年12月10日 16時5分

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亡くなった親戚の叔父さんの日記が全然解読できない!――そんな言葉とともに、故人の日記に書かれた「暗号文」がツイッターに投稿された。それが、暗号にくわしいユーザーたちの協力により見事に解読され、「ネットの集合知」と話題になっている。

日記は合わせて7日分で「ヌサヌヨ.フ.ヤリミサ」というように暗号で書かれていた。そのままでは意味不明だが、多くのユーザーが解読に挑戦したところ、約4時間後に意味が判明した。ネットでは、その早業を賞賛する声が多く寄せられた一方で、日記をさらされる形になった「叔父さん」のプライバシーを心配する声もあった。

誰かが暗号で書いた日記を「死後」に解読することは、法的に何か問題があるのだろうか。そこに潜むリスクとは、なにか。ネットの法律問題にくわしい梅村陽一郎弁護士に聞いた。

●遺族の「敬愛追慕の情」は保護される

「プライバシーの権利は人格権といわれています。その人限りの権利で、譲渡されることも相続されることもありません。その人が亡くなれば、権利は消滅します」

では、亡くなった人の日記を解読して、内容を暴いても法的にはまったく問題ない?

「故人に対する遺族の『敬愛追慕の情』が侵害されるような場合には、遺族の権利として、損害賠償請求を認めた裁判例もあります。

日記の公開によって、このような遺族の権利を侵害することもあり得るでしょう」

●解読された情報の内容によっては・・・

敬愛追慕の情が侵害されるような場合とは、簡単に言えば、「故人に対する思いを傷つけられた」と遺族が感じた場合だ。今回の事例は当てはまるだろうか。

「今回、解読された内容は、日々の雑感のような、公開されても差し障りのないもののようでした。

ただ、これが(1)故人のプライバシーや名誉が傷つく内容、(2)故人ではなく第三者の名誉やプライバシーを傷つける内容、(3)インターネットバンキングやSNSのIDやパスワード等の情報だったとしたら、どうでしょうか。

遺族全員が、『どのような内容であったとしても、ネット上で解読を希望する』というのであれば、解読の結果(1)や(3)であったとしても、結果を甘受しなければならないかもしれません。

しかしながら、遺族であったとしても(2)のようなケースについて、ネットで公開してよいということにはならないでしょう。解読を依頼した遺族や解読結果を公開した者と、情報を解読されてしまった第三者の間で、紛争が起こる可能性もあります」

場合によっては、トラブルに発展する可能性もあるわけだ。

「暗号は、解読してみなければ、公開に適した内容かどうかわかりません。故人の暗号の解読をネット上で依頼するとしても、遺族の全員がリスクを理解して、解読を望んでいることが必要でしょう。

また、解読する側も、解読の途中で(1)(2)(3)などの問題が発生するような可能性が出てきたら、解読した結果を公開しないといった配慮が必要かもしれません」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
梅村 陽一郎(うめむら・よういちろう)弁護士
弁護士法人リバーシティ法律事務所 代表社員
千葉県弁護士会、千葉商科大学大学院客員教授、千葉大学法科大学院非常勤講師
著書「図解入門ビジネス最新著作権の基本と仕組みがよ~くわかる本」など
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/

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