ろくでなし子さん起訴――「わいせつとは何か」が最大の争点

弁護士ドットコムニュース / 2014年12月24日 17時37分

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女性器をモチーフにした作品で知られる芸術家「ろくでなし子」さんが12月24日、わいせつ物頒布罪などで起訴された。ろくでなし子さんは逮捕以来、一貫して無罪を主張しており、弁護団の須見健矢弁護士も「全力で無罪を勝ち取りに行く。彼女の作品がわいせつではないこと、逮捕・起訴が表現活動に対する不当な制約であることを公判で明らかにする」と話している。

裁判の最大の争点は、刑法でいう「わいせつとは何か」という問題だ。

●刑法175条の「わいせつ」にあたるのか?

弁護団によると、起訴事実は次の3つだ。

(1)女性器をスキャンした3Dプリンタ用のデータがアップロードされているウェブサイトのURLをメールで送信したこと

(2)同様のデータが入ったCDを送付したこと

(3)北原みのりさんの経営する店舗で、女性器をかたどった模型を展示したこと

検察側はこうした行為がそれぞれ、刑法175条違反にあたるとしている。刑法175条は「わいせつな文書、図画、電磁的記録」などを配ったり、公然と陳列することを処罰する内容だ。

だが、ろくでなし子さんは、12月22日に開かれた勾留理由開示公判の法廷で「私の作品がわいせつではないことを裁判で堂々と証明したい」と宣言している。裁判でも「わいせつではない」として無罪を主張するとみられる。

弁護団によると、裁判では、まず刑法175条の合憲性を争う方針だという。刑法175条は、表現の自由などの観点から違憲とする学説もあり、わいせつをめぐる過去の裁判でも繰り返し論点となっている。

また、仮に刑法175条が合憲だとしても、今回のデータや作品が刑法175条のいう「わいせつ」には当たらないと主張するという。

●なにが「わいせつ」なのかは時代によって変わる

わいせつ性の判断については、1957年の通称「チャタレー判決」で最高裁が示した「わいせつ3要件」が重要な基準とされている。

具体的には(a)いたずらに性欲を興奮または刺激すること、(b)普通人の正常な性的しゅう恥心を害すること、(c)善良な性的道義観念に反することの3つを、「その時々の社会通念」にしたがって、裁判官が判断するとしている。

これは裏返すと「現時点で何がわいせつ(違法)とされるのか」は、時代や社会によって変わるため、裁判をしてみないと分からない部分があるということだ。現に、このチャタレー裁判で「わいせつ」と判断された本は、いまとなっては大手出版社が文庫本として販売している。

●「保釈」が認められるかどうかも焦点

ろくでなし子弁護団の山口貴士弁護士は「裁判では、今回のデータ・作品がわいせつではないことを立証していく」と説明している。具体的には、いまどんな作品がアートとして扱われているのか、どんな性的な表現物が一般的に流通しているのかといった情報、さらには学者や有識者、芸術家の意見書を裁判に証拠提出していく方針だという。

今回の裁判は、インターネット時代のいま、「表現の自由とは何か」「わいせつとは何か」を、あらためて問いかける内容となりそうだ。

一方、裁判そのものとは別に、被告人となったろくでなし子さんの「身柄」がどうなるのかにも注目が集まる。目下の焦点は、保証金と引き換えに身体拘束を解く「保釈」が認められるかどうかだ。弁護団は年内の保釈を目指して動いているという。

(弁護士ドットコムニュース)

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