隣家の「電気」を自宅に引いた女性が逮捕――物を盗まなくても「窃盗罪」なのはナゼ?

弁護士ドットコムニュース / 2015年4月22日 9時32分

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自宅の電気が止められていたから・・・。隣の家の電気を自宅に引いて使ったとして、京都府警木津署は4月中旬、京都府木津川市内の女性を「窃盗罪」の容疑で逮捕した。

報道によると、女性は2014年3月から2015年1月にかけて、隣家の屋外に設置してあった給湯器用のコンセントに延長コードを差し込み、約2万2000円分の電気を盗んだ疑いがもたれている。「家の電気が止められ、エアコンなどに使っていた」と容疑を認めているという。

窃盗罪というと、お金など「目に見えるモノ」を盗むことが思い浮かぶ。なぜ、電気を勝手に使った場合も、窃盗罪になるのだろうか。刑事事件にくわしい福村武雄弁護士に聞いた。

●窃盗罪の「財物」とはなにか?

窃盗罪について定めているのは、刑法235条だ。そこには「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし・・・」と書かれている。この条文について、福村弁護士は次のように説明する。

「窃盗罪の対象となる『財物』は本来、目に見えるモノや、形あるモノを想定しています」

福村弁護士はこのように切り出した。電気は目に見えないし、形もないが、なぜ窃盗罪の対象になるのだろうか。

「電気については、刑法の窃盗罪が定められている章に『電気は、財物とみなす』という条文があります(245条)。形はないけれども、特別に窃盗罪の『財物』にあたるとされているわけです。

というわけで、無断で隣家の電気を利用することは、窃盗罪に該当します。

この条文が追加される以前は、『ガスは有体物であるため、窃盗罪の対象になるが、電気は単なるエネルギーであり有体物ではないため、窃盗罪の対象にはならない』という見解も存在しました。

明治時代に、電気を盗んだ者を『無罪』にした裁判例も存在します。

しかし、その裁判例の上告審で、現在の最高裁判所にあたる大審院は、『管理可能なもの』であれば、窃盗罪の対象となる『財物』にあたるという基準を示しました。そして、電気は電圧計や電力計で管理可能なので、窃盗罪の対象となる『財物』にあたると判断しました」

●Wi-Fiの電波も「窃盗」になる?

では、外出先などで、パスワードがかかっていないWi-Fiの電波(野良Wi-Fi)に「ただ乗り」した場合も、「財物」を盗んだことになるのだろうか。

「二つの考え方があります。

ひとつが、窃盗罪の財物にあたるのは、『有体物』つまり、形あるモノに限るという考え方です。この考え方だと、電気はあくまで例外で、形のない電波は窃盗罪の『財物』にはあたりません。

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