「インターネットの闇は深い」 匿名の「誹謗中傷」と戦う唐澤貴洋弁護士インタビュー

弁護士ドットコムニュース / 2015年5月25日 11時0分

――ネットで炎上したケースをみると「集団リンチ」のようなことが起きています。その点については、どういう考えでしょうか?

川崎市の中学生殺害事件でもそうでしたが、犯人の過度な追及など「ネット私刑」が横行しています。そこでは「悪い奴に対しては何をやってもいい」という風潮がみられます。何の検証プロセスも経ずに、個人を攻撃する情報がどんどん積み上げられていきます。さらに悪質なのは、犯人とされる家族の方も標的となり、誹謗中傷ないしプライバシー権侵害の対象にされることです。

しかし本来なら、これはおかしなことです。犯罪については、それを捜査するための法律があり、それにもとづいて捜査機関が対応することになっています。曲がりなりにも国民自らが決めた法律を無力化するようなことがあってはなりません。

真実を知りたい気持ちはわからなくもありませんが、たとえ、その人が悪いことをやっていたとしても、一般人が何の責任も負わずにやみくもに攻撃していいわけではないのです。ましてや、犯人とされる家族の方を標的にするのは、法的に許されるわけがありません。

もちろん、きちんとした議論が行われて、成熟した民主主義に貢献するような言論だったら、問題ありません。しかし、あるのはディスカッションではなく、刹那的な「動物的な感情」のぶつけ合いです。そんな状況が野放しになっているのです。

こういう状況に対して、弁護士として取り組みつつ、もっと多くの人に、問題があることを知ってもらいたいと思います。

――ご自身も攻撃の標的となっています。

私の場合は、インターネット上で起きたある誹謗中傷事件で、権利侵害をおこなった人たちを特定しようとしたことがきっかけです。それで目をつけられて以降、私に対する誹謗中傷はやみません。事務所に不審な電話がかかってくるなど、様々な業務妨害を受けております。

●弱い人ほど自分でものが言えず、悩みや苦しみを抱えてしまう

――そこまでして、誹謗中傷対策の活動を続けているのは、なぜですか。そもそも、弁護士になったきっかけから聞かせください。

今から考えると、10代後半に1歳下の弟が死んだことが背景にあります。

弟は当時、ある非行グループから、資金集めのためにパーティ券を売りつけるように迫られていました。真面目で人が良い弟は、結局、パーティ券を売りさばくことができず、グループから集団暴行にあって、その翌日、人生を悲観して自殺しました。亡くなった弟は、苦しみ抜いた「死に顔」をしていました。

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