国内初の「卵子バンク」がスタート 「法整備」に問題はないか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年5月22日 21時0分

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病気などが原因で不妊に悩む女性に卵子を提供する、国内初の「卵子バンク」がスタートする。この卵子バンクの母体は、医師や法律家、心理カウンセラーなどの協力のもとで設立されたNPO法人。5月13日には、9人の女性がドナーとして登録し、3人の女性が卵子提供を受けることが発表された。

こうした動きは、海外に渡航してまで卵子提供を受けようとしてきた女性たちにとって、福音になるだろう。だが、卵子提供をめぐる国内の法整備は、不十分なままだ。2003年に厚生労働省の審議会が、「卵子提供のあり方」についての報告書を発表したが、いまだに具体的な立法につながっていない。

はたして、現行法の下で卵子提供が行われた場合、法的にはどういった問題が予想されるのか。たとえば、法律上の母親は、「産みの母」なのか「遺伝上の母(卵子提供者)」なのかといった問題はないのだろうか。内山知子弁護士に解説してもらった。

●「現行法では明確でないので、子どもの地位が不安定になる」

まず、第三者からの卵子提供を受けて生まれた子どもの母親は、産んだ人なのか、卵子提供者なのか。内山弁護士は「現行法上、明確でないので、子どもの地位は不安定になります」と指摘する。

「通常の出産であれば、母親と生まれた子との間の法的な親子関係は、『原則として母の認知を待たず、分娩(ぶんべん)の事実により当然発生する』(最高裁昭和37年4月27日)とされています。

つまり、産んだ人が母親になる、ということになります。通常の出産では、妊娠・出産を通じて、子と母親との生物学的つながりを疑わせるものは何もないからです」

内山弁護士は、過去の判例にもとづき、このように説明する。

「一方で、第三者からの卵子提供による出産の場合には、先に述べた判例が妥当しないとされるおそれは十分に考えられるでしょう。ですから、出産しても認知をしないでいると、生まれた子との間の法的な親子関係が認められないということになりかねません(民法779条)」

●「親子関係について明確に決められないため、親族間の紛争が多発するおそれも」

さらに、内山弁護士は「父親との関係も安泰ではありません」と説明を続ける。

「『妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子(嫡出子)と推定する』(民法772条)とされていますが、『妻が』、『懐胎』という2つの文言の意味をどう捉えるかによって、第三者からの卵子提供による出産では、この条文が適用されない事態も生じえます。

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