米ディズニー・ワールドで「障害者制度」の「裏ツアー」 もし日本で起きたら?

弁護士ドットコムニュース / 2013年6月20日 10時43分

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米フロリダの「ディズニー・ワールド」。日本からの観光客も訪れるこの「夢の国」で、障害者を雇ってアトラクションの行列を回避するという、言語道断の「裏ツアー」が横行していたことが、このほど米メディアの報道で発覚した。

CNNなどによると、このツアーでは、同園の「車椅子などの障害者1人につき、付き添いの6人まで優先的にアトラクションを利用できる」というルールを悪用。障害者をガイドとして雇うことで、待ち時間を短縮していた。「ツアー料金」は1時間130ドル(約1万3000円)、8時間1040ドル(約10万4000円)で、主に富裕層が利用していたという。

これに対し、世界中から非難の声が殺到。ディズニー広報も「障害を持つゲストのためのはからいを悪用することは容認できない」とコメントしたという。東京ディズニーリゾートでは現在、「待ち時間なし」サービスは行っていないようだが、もし日本で同じような「ツアー」を行った場合、法律的に問題はあるのだろうか。また、このような障害者優先制度の悪用を防ぐ法律はあるのだろうか。平野由梨弁護士に聞いた。

●障害者を侮辱する「許しがたい行為」だが・・・・

「ディズニー側は障害のある方の負担を軽減するために制度を設けているわけですから、今回の行為は、明らかにその意図とは異なるサービスの利用方法と言えるでしょう。こういった行為は、広い意味ではディズニー側をだましていると言えます」

また、障害のある方を利用して、自己の利益を図るという行為であり、障害のある方を侮辱しているとも言うべき許しがたい行為であることは言うまでもありません」

平野弁護士はこのように分析する。やはり、このような悪用をしたら罰せられることになるのだろうか。

「いいえ。問題の行為は、ディズニー側に財産上の損害を与えたり、業務を妨害する行為にはあたりません。また障害のある方に損害を与えたり、特定の方を直接的に侮辱する行為ともいえないので、日本の刑法上では処罰の対象にはならないでしょう。他の法律上の規制にも違反していないと言えます」

●「悪用」対策は事前チェックや利用規約の整備

このように平野弁護士は冷静な解説を加える。つまり、日本で同じような「ツアー」を行ったとしても、「違法ではない」とのことだ。

だが、心情的には、あまり納得のいく結論ではない気もする。では、こういった「悪用」を防ぐことはできないのだろうか。

「今回のケースは、あくまでディズニー側の判断でルールを作り、障害のある方に配慮したわけです。したがって、そのルールの要件を形式的には満たしていても、実質的には違反している人々に対して、ディズニーはどう対処できるかという問題となります。

こういった行為を認めないためには、事前にチェックしたり、行為が発覚したときに、たとえば『退去等の措置を取ることができる』とする利用規約等を整備することが対策として考えられると思います」

今回のツアーは海外の話とは言え、日本でも起きないとは限らない。平野弁護士の「障害者のある方を侮辱しているとも言うべき許しがたい行為」という言葉を噛み締めながら、国内でこのような悪用が決して起きないことを願う。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

【取材協力弁護士】
平野 由梨(ひらの・ゆり)弁護士
藍法律事務所 所長弁護士
愛知県弁護士会 高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員
名古屋市障害者・高齢者権利擁護センター事業運営委員会 委員
事務所名:藍法律事務所
事務所URL:http://www.ai-law.jp

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