万引き客の「顔写真」を店内に貼り出し 「やりすぎ」ではないのか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年6月20日 10時18分

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国内の「万引き犯」の認知件数は年間約13万5000件にもおよぶ(2012年・警察庁調べ)。「何としても被害を抑えたい」と、躍起になっている小売店が多数あることは想像に難くない。そんななか、大阪のある鮮魚店が実施している「万引き対策」が話題を呼んでいる。

朝日新聞などによると、年間数十件の万引き被害に悩んでいたこの店では、万引き行為を見つけた場合、警察に通報する代わりにその人の顔写真を撮影し、店内に貼り出すという「自衛策」を行っているという。

商品1点につき1万円の「罰金」を支払えば、撮影をまぬがれることができるようだが、店内には実際に「私は万引きしました」というカードを持たされた人の写真が貼ってある。さらに、万引きを発見したら徴収した罰金をそのまま渡すとして、一般客に「店への通報」も呼びかけているという。

店側としては窮余の一策のつもりかもしれないが、こういった行為は「私刑」ともいえ、プライバシーなどの観点から「やりすぎ」といえないか。日本の法律上、こういった「自衛策」は許されるのだろうか。中川彩子弁護士に聞いた。

●私的な制裁は「強要罪」や「名誉毀損罪」にあたる恐れも

「日本では、一般人が勝手に誰かを裁いて、『私刑』を押し付ける事はできません。法律の定める手続きによらなければ、誰も刑罰を受けないと決まっている。つまりは『国家が刑罰権を独占している』のです。

だから、犯罪が起こった場合は、警察に通報するなど国家に処分をゆだねるのが原則です。たとえ万引き犯であっても、お店が私的に制裁を加えるのは問題です」

具体的には、どんな問題があるのだろうか。

「たとえば、『私は万引きしました』というカードを持たせて写真を撮るのは、無理に従わせようとすると、強要罪(刑法223条)になる可能性があります。また、その写真を店内に張り出すのは、名誉棄損罪(刑法230条)とされるおそれがあります。

もし仮にお店側が『本人の承諾があった』と主張しても、これらの罪は成立する可能性があります。なぜなら、お店側の強要により、やむなく承諾せざるを得ない状況であったとすれば、『承諾は真意ではなかった』と判断されるからです」

逆に、店側の犯罪になってしまう可能性もあると?

「そうです。さらに、この『罰金』1万円も危ういといえます。被害がごく少額であっても一律に1万円を支払わせるとするならば、その請求の根拠が乏しいからです。不当な請求といえる場合もあるでしょう」

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