「保育園」建設反対で訴訟が起きたらどうなるか? 「迷惑施設」の観点から考える 

弁護士ドットコムニュース / 2016年7月11日 10時15分

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近年、都市部で待機児童問題が大きな話題になっている。今年2月には「保育園落ちた日本死ね!!!」と冠された、子育て中の母親が書いたブログが大きな話題となり、国会でも大きく取り上げられた。

この問題を取材する中、保活(保育園探し活動)をしている母親たちから切実な声を聞いた。

「子どもを預ける保育所が見つからないと職を辞めないといけないんです」

「不安で夜が眠れなくて。全員入れるよう場所を確保して欲しい」

ほかにも、「見学申込みするだけで人気歌手のチケット争奪戦のようになる」という話や「問い合わせだけで3、40か所電話した」という話も聞いた。子どもが保育園に入れるかどうかが、彼女たちのキャリアを左右する事態となっている。この問題をおさらいするとともに、法的な観点からも考えてみたい。(取材・構成/西牟田靖)

●各地で起きる保育園建設反対の動き

2008年のリーマンショック以後、働く母親の割合が大幅に増え、待機児童問題が急激に深刻化した。日本全国の県庁所在地レベルの都市では、共働きが根付いている北陸以外で、今やこの問題はどこでも存在する問題となっている。厚労省が発表した昨年4月時点のデータによると、その数は全国で2万3167人、潜在的な数を含めれば、その数倍といわれている。(以上のデータは『サンデー毎日』2016年5月22日号の拙記事より)

この問題を解決するために、各自治体は受け入れ可能人数を大幅に増やすべく、認可保育所やその他の保育施設の建設・設置を急いでいる。例えば、東京都の杉並区では「すぎなみ保育緊急事態宣言」を発表、2017年4月に「待機児童ゼロ」を達成するべく、公園、学校、高齢者施設、区職員福利厚生施設といった区立施設や用地の転用を図るなど、取り得る方策は全て講じるとしている。

(杉並区ホームページ:http://www.city.suginami.tokyo.jp/hoikukinkyu/1024114.html)

ところが、各自治体の待機児童問題解消の取り組みによって、軋轢が生まれている。千葉県市川市では、4月に開園予定だった市立保育園が近隣住民の反対運動によって建設が中止となった。

(弁護士ドットコムニュース『「子どもの声が聞こえない街はよくない」住民反対で保育園建設断念、市川市が経緯語る』https://www.bengo4.com/internet/n_4530/)

4月12日に開かれた会見で、こども施設計画課の小西啓仁課長は、「去年(開園が)決まった保育園の中でいちばん大きなものだったので、極めて残念」と語った。昨年8月に開園を伝えたところ住民の反対運動が始まった。秋には募集を開始したものの、住民の理解が得られないために、3月に開園を断念した。反対意見として多かったのは、道の狭さによる安全面への危惧、子どもの声などによる騒音、説明不足などだったという。

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