いつのまにか「飛ぶボール」になっていた!野球選手は「年俸契約」を変更できるか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年6月20日 15時46分

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鳴り物入りで導入されたプロ野球の「統一球」。去年までは「飛ばないボール」だったのが、極秘裏に「飛ぶボール」に変更されていた。そんな事実が判明し、大騒動になっている。

日本野球機構(NPB)は今シーズンから、ボールの反発力が昨シーズンよりも高くなるよう調整していたにもかかわらず、その事実を明らかにせず、「ボールに変更はない」と事実と異なる説明をしていたのだ。NPBは昨年10月に飛びやすく調整した統一球の製造をメーカーに発注したが、変更の事実は公表しないよう口止めし、各球団や選手への報告もしていなかった。

ところが、今季は1試合あたりのホームラン数が昨年の同時期に比べ1.5倍と急増し、「ボールが変わったのでは」という疑問の声が噴出。NPBの加藤良三コミッショナーが6月11日にようやく、事実を認めて謝罪したが、ファンの怒りはおさまっていない。

選手からも憤りの声があがっているが、その理由は感情的なものだけではない。個人成績と年俸が連動する出来高契約をむすんでいる選手にとっては、ボールの変更は「収入」に直結する問題といえるからだ。特に投手は「飛ぶボール」への変更によって、防御率が全体的に悪化している。

契約の前提にこのような重大な変更があったにもかかわらず、それを知らされていなかったような場合、選手は契約内容を変更することができるだろうか。また、ボールの変更により成績が落ちた場合、NPBに対して損害賠償を請求できるのだろうか。野球に造詣の深い大久保誠弁護士に聞いた。

●「事情変更の原則」の適用は微妙

「契約内容の変更が認められるとすれば、それは『事情変更の原則』が適用された場合です」

――それは、どんな原則か。

「ざっくりいうと、その契約の前提となっていたこと(基礎事情)が根底から覆されるような変化が、契約後に起きた場合に、契約内容を変更したり無かったことにできるという話です。この原則が適用されるためには、次の4つの要件が全て満たされていなければなりません。詳しくみていきましょう。

(1)契約が成立したときの、基礎事情に重大な変更が生じたこと(ただし個人的な事情は除く)。

ボールの品質変更は重大ですから、当てはまりそうです。

(2)その事情変更について、契約の当事者双方が、事前に見通せなかったこと。

秘密だったということで、当てはまりそうです。

(3)事情変更が起きた理由について、契約をした当事者たちに責任がないこと。

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