世の中のためなら約束違反もOK?「一休さん」のトンチは現代の裁判でも通用するか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年7月25日 18時11分

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「一休さん」といえば、日本の室町時代の禅僧・一休宗純の子供時代の説話をもとにしたテレビアニメとして知られる。最近は人気子役の鈴木福くんを主役にした実写ドラマも放送されて、注目を集めた。そのストーリーは、小坊主の一休さんがさまざまな問題を前にして、トンチを使って切り抜けていくというものだ。

1970年代から80年代にかけてテレビで初回が放送されたアニメ編はいま、インターネットの有料配信で見ることができるが、その中に「流行病」をテーマにした話が出てくる。一休さんは「誰にも言わない」という約束で、商人の桔梗屋から流行病の治療法を教えてもらうが、その治療法を立札に書いて、皆に知らせてしまうのだ。桔梗屋は「約束を破った」と怒るが、一休さんは「私は言ってはいません。書いただけです」とまったく意に介さない・・・。

トンチというよりは屁理屈ともいうべき一休さんの対応だが、結果的には、多くの人のためになっており、「めでたし、めでたし」というわけだ。アニメの中だから通用する話といえそうだが、もし今の日本の裁判で、一休さんのような主張をしたら、それは認められるだろうか。流行病の治療法を世に広めるという「いいこと」をしたのだから、一休さんは正しいといえるのだろうか。千葉弁護士会の会長をつとめた経験もある守川幸男弁護士に聞いてみた。

●一休さんの「トンチ」は、法律の世界では通用しない

「一休さんのトンチは庶民が権力者や力の強い者を懲らしめるというものが多く、共感を誘います」

このように一休さんの魅力を認める守川弁護士だが、法律論になると厳しい。

「一休さんが桔梗屋とかわした約束の意味は『治療法を公開、公表しない』というものです。だから、『言う』ことも『書く』ことも同じで、約束に違反したことに間違いありません。一休さんのトンチは屁理屈も多く、お話の世界では笑えても、法律の世界では通用しませんね」

このように、さすがの一休さんも、バッサリ斬られてしまった。では、約束を破られた桔梗屋は、一休さんに対して「損害賠償」を請求できるだろうか。

「そもそも『治療法』というのが何かわかりませんし、なぜ桔梗屋が流行病の治療法を秘密にしておきたかったのかハッキリしたことはわかりません。現代に置き換えると『新薬を開発して大もうけを狙っていた』といったところでしょうか。そうなると、特許権が問題になるかもしれません。

室町時代に特許権は存在しませんが、仮に特許権を得ていなくても、今回の場合は、桔梗屋が『営業上の秘密』を公開されてしまったといえるでしょう。桔梗屋としては、もうけそこなった分を一休さんに賠償請求したいところでしょうね」

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