TPPで著作権保護期間が「20年延長」?クールジャパンを痛打する「4つの懸念」

弁護士ドットコムニュース / 2013年7月19日 13時36分

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著作者の死後50年とされている「著作権の保護期間」が、さらに20年、延長されるかもしれない。日本経済新聞が7月9日、「日本が著作権の保護期間を権利者の死後50年から70年に延長する方針を決めた」と報じたのだ。

TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉では、アメリカが著作権保護期間の延長を求めてくるとみられている。日本がその要求を飲む方針だと伝えられ、ネット上では失望する声があがった。しかし、日経新聞の報道について、TPPを担当する甘利明経済再生担当相は「全部誤報。具体的な協議をしたわけでも、結論を出したわけでもない」と、記者会見で否定しており、まだ決まったとはいえない状況だ。

この著作権保護期間の延長をめぐる問題は、6月末に東京都内で開かれたシンポジウムでも議論されていた。「日本はTPPをどう交渉すべきか ~『死後70年』『非親告罪化』は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?」と題したシンポジウムで、著作権法にくわしい弁護士の福井健策さんや野口祐子さんらが登壇した。このなかで「死後70年問題」がどのように論じられたのか、まとめてみた。

●「プーさん1匹で、JASRAC1つ分」の著作権料

日本の著作権法では、著作権の保護期間は原則として、著作者の死後(法人の場合は公表後)50年とされている。一方、アメリカでは死後70年と20年長い。その背景について、福井弁護士は次のように説明する。

「欧米は1990年代に一律20年延長しましたが、アメリカでは激論が起きました。著作権の保護期間については『ミッキーマウスの著作権が切れそうになると延ばす』ともいわれ、違憲訴訟にまでなったのですが、最高裁では7対2で合憲とされました。このころから、欧米は他国にも保護期間延長を求めるようになりました」

TPP交渉で、アメリカが保護期間の延長を迫ってくると想定されるのには理由がある。アメリカにとって、コンテンツは最大の輸出品目だからだ。福井弁護士は言う。

「2011年のデータで、アメリカが海外から稼いでいる特許と著作権の使用料は、合わせて約9.6兆円だといわれます。2013年の為替レートにすると約12兆円で、農産物・自動車を上回る大変な金額になります」

その象徴が、日本人にもおなじみの『くまのプーさん』なのだという。

「『くまのプーさん』は1926年の作品ですが、こういう古い作品での売り上げが非常に高いんです。数年前のデータで、『プーさん』が全世界で年間に稼ぐ印税が1000億円といわれます。これは、JASRAC(日本音楽著作権協会)が1年間で稼ぐ著作権使用料と同額です。プーさん1匹でJASRAC1個分。すごい額ですよね」

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