墓地を求め、漂流する遺骨…独身中高年「明日は我が身」の不安〈孤独死大国・下〉

弁護士ドットコムニュース / 2017年5月6日 8時43分

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自宅で誰かに看取られることなく息を引き取り、そのまま放置される「孤独死」が年々、増えている。「平成27年版高齢社会白書」によれば、東京23区内で一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死者数は2013年に2869人。2002年には1364人だった。

孤独死の要因としては、生涯未婚率の上昇だけでなく、非正規雇用の拡大など様々な要因が挙げられるが、単身世帯の増加に伴い、孤独死の数も今後増えていくと予想されている。未婚者だけでなく、たとえ既婚であっても死別によって最後は夫婦のどちらかが「おひとりさま」になる。そう、孤独死という結末はもはや、誰にでも襲いかかる現実なのだ。

前編では35年間会っていなかった父親が孤独死したケースについて、実の息子から話を聞いた。後編では、発見された後、孤独死した人の亡骸はどのような経緯を経て、埋葬されるのか。実際にある孤独死をした人の火葬の場をたずねてみた。(ノンフィクション・ライター 菅野久美子) 

●親族が誰も立ち会わない孤独死の火葬

孤独死の火葬はどのように行われるのか。2016年8月、私は都内のある火葬場で、孤独死の火葬の瞬間に立ち会わせてもらうことになった。亡くなったのは鹿児島県出身の70代の男性とのことだった。男性は、九州の出身だが、都内のアパートで孤独死して引き取り手がなかったという。その人の最期を見届けるのは、行政から依頼された葬儀社の女性職員だ。

女性によると、一般の火葬では亡骸は霊柩車で運ばれてくるが、孤独死や身寄りのない人の遺体は、ワゴン車の荷台に乗せられてひっそりと運ばれてくるという。

幸いにもこの男性は、腐敗の進行は進んでいなかった。しかし、孤独死の場合は、蛆(うじ)や虫まみれのことも多く、その場合は、チャック付きの袋で厳重に密封された状態で棺に入れられて、そのまま火葬となるケースも多いのだという。つまり、棺を開けることすらできない状態というわけだ。

ワゴン車の荷台から棺が下ろされると、火葬場の職員によってストレッチャーのようなものに乗せられて一列に並んだ炉の前まで運ばれていく。あっという間に、ストレッチャーは炉の前に到着し、葬儀社の職員と火葬場の職員が一礼をして、炉の扉が閉まり、火葬が終わるのを待つ。

しばらく経つと、葬儀社の職員に、収骨室へ呼び出された。かなりの高温に達した台の上に、跡形もないほどに崩れた骨が並んでいた。隣の部屋では、納骨室に入りきらないほど大勢の遺族で溢れ、すすり泣きの声が聞こえる。

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