DV男性に「元妻の転居先」を誤って伝えた市役所の責任は?

弁護士ドットコムニュース / 2013年8月27日 19時27分

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DVを理由に離婚した女性の転居先を、市役所が別れた夫に知らせていた――そんな「事件」が福島市で発覚した。

報道などによると、女性は今年に入って離婚。2月、元夫に新住所を知られないようにするため、住民基本台帳を許可なく他人に見せないよう福島市に申請し、受理されていた。ところが市はその後、女性の新住所が記載された子どもの医療費受給者証を、誤って元夫に送付したという。誤送付は、その受給者証が夫から女性に転送されてきたため、発覚した。

福島市は8月、書類の誤送付を認めて女性に謝罪した。しかし、慰謝料や引越費用の支払いについては、「女性は引っ越しておらず、損害額が不明」などとして拒否したという。女性は8月5日、国家賠償法に基づき、市に対して慰謝料や再び引っ越すための費用など約112万円を求めて、福島地裁に提訴した。

ミスを認めているにもかかわらず「慰謝料は払わない」という市側の決定は腑に落ちないが、こういったケースでは市側に法的責任は発生しないのだろうか。森越壮史郎弁護士に聞いた。

●「慰謝料は認められるべきだ」

「女性は元夫に転居先を知られてたくない一心で、わざわざ住民基本台帳の閲覧制限の申請をし、認められています。総務省のウェブサイトにも記述されているように、自治体はこの制限を認める上で、警察等の意見を聞き、確認することになっています。したがって、この女性が相当のDV被害にあっていたことは明らかでしょう。

そのような状況で、やっと逃げだした先に、他ならぬ元夫から書類が転送されてきたとすれば……。女性が相当な恐怖を味わい、また引っ越したいと思うのは当然のことだと思います」

――ここまでの話だと、女性の被害は「自明」に見えるが……?

「そうですね。しかし、我が国の制度では、たとえ誰かのミスで損害が生じたとしても、すべての賠償が認められるわけではありません」

――どうして?

「損害賠償の範囲が広くなりすぎるからです。具体的には『特別の事情によって生じた損害については、加害者がその事情を現に予見し、または予見することできたとき』に限り、損害賠償の対象となるとされています」

――つまり、『予見不可能な、特別の事情によって生じた損害』であれば、賠償しなくても良いと言うこと?

「そうですね。ただし、今回の件を『予見不可能な特別損害にあたる』と言うのは、あまりに無責任な話です。

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