TPP対策の切り札? 二次創作みとめる「同人マーク」で何が変わるのか

弁護士ドットコムニュース / 2013年8月28日 21時31分

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マンガなどの作品の「二次創作」を作家自身が認めるときに使う「同人マーク」の運用が8月28日、開始された。この日に発売された週刊少年マガジン。赤松健さんの新作『UQ HOLDER!』に、同人マークが掲載されたのだ。

この同人マークのデザインは約2週間前、インターネット時代の新たな著作権ルールである「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の普及活動を行っているNPO法人コモンスフィアによって発表された。『UQ HOLDER!』に続いて、順次使われていく予定だという。

採用されたマークは、創作を意味するペン先と「OK」の文字を組み合わせたシンプルなデザイン。コミックマーケットなどで販売される2次創作同人誌をめぐっては、以前から著作権の問題が指摘されていたが、このマークが付いている作品ならより安心して2次創作ができるようになる。

それでは、この同人マークが付いている作品は、何がどこまで許されるのだろうか。また、なぜこのようなマークが必要だったのだろうか。同人マークの選考などに協力した福井健策弁護士に聞いた。

●二次創作に対して「黙認」「放置」が続いてきた

「このマークが作られたきっかけとしては、TPP(環太平洋経済連携協定)で、著作権侵害が非親告罪化される可能性があることへの危惧があります。

日本は、コミケに限らず様々な二次創作が花開いてきた文化です。入場者夏冬50万人、参加サークル3万5千といわれ、オタク文化を象徴する存在のコミケですが、同人誌の75%までが既存漫画などのパロディ系であるとされます。その少なからぬものは、厳密にいえば原作品への著作権・著作者人格権侵害の疑いがありました。

しかし、多くの作家・出版社も必ずしもコミケがなくなることは望んでおらず、正式な許可は出しづらいけれど、やり過ぎなければ問題視はしない、いわば『黙認』『放置』が続いてきたのですね」

●著作権侵害の「非親告罪化」が二次創作を萎縮させる?

「このグレー領域と相性が良かったのが、現行法の刑事罰の扱いです。著作権侵害には刑事罰があるのですが、それは『親告罪』といって、被害者(権利者)の告訴がないと国は起訴も処罰もできない。『黙認』文化との相性が良かったのです。

しかし、TPPで米国は、他国に著作権侵害や商標権侵害を『非親告罪』にすることを求めています。通れば、権利者の告訴がなくても、起訴・処罰ができてしまう。

第三者通報などが引き金でそうした事態が起きるのではないか、起きないまでも二次創作文化の萎縮につながらないか。そうした危機意識とこの問題で発言してきた赤松さんの思いが結びつき、ひとつの試みとして、今回のマーク提案に至っています」

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