過去最大級の「地震誤報」 混乱をまねいた国に賠償請求できるか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年8月31日 13時53分

写真

関連画像

「ウィーン、ウィーン!ウィーン、ウィーン!」。お盆休みを翌週にひかえた8月8日午後4時56分。日本各地のオフィスや電車、家庭に、不気味なアラート音が鳴り響いた。携帯電話の「緊急地震速報」だ。

気象庁から発せられた速報は、近畿地方を中心に、広範囲で大きな地震が発生すると告げていた。ところが、これは過去最大級の誤報だった。同庁はすぐに記者会見を開いて謝罪。その後の調査で、誤報の原因は陸上中継局(静岡県御前崎市)にある装置の不具合だったことがわかった。

誤報は単に人騒がせというだけではなく、交通機関の混乱も招いた。東海道新幹線では、小田原・新大阪間で上下計56本が遅れ、約5万6千人に影響が出たという。

大地震が実際に起きるよりは「誤報」の方がましには違いないが、もしこの誤報の影響で、商談に間に合わず損害が発生したような場合、国に損害賠償を請求することはできるのだろうか。伊藤隆啓弁護士に聞いた。

●今の緊急地震速報は完璧ではなく、測定や予測に誤りはつきもの

「緊急地震速報は、地震の最初のわずかな揺れから各地の揺れを予想し、発表するものです。警報(最大震度5弱以上)、予報(最大震度3以上またはマグニチュード3.5以上等)の2種類があります。最大震度6弱以上の警報は、今年8月30日から運用が開始される特別警報に位置づけられます。法律上、警報を出せるのは気象庁だけです」

――国に対して「誤警報の責任をとれ」と言える?

「国に対し、誤報の影響で発生した損害賠償責任を追及するということであれば、装置の不具合に関し、公務員の不法行為(国家賠償法1条1項)や、営造物の設置または管理の瑕疵(同法2条1項)などを理由にして、訴えを起こすことになるでしょう。

ただ、『その行為がなければ生じなかった全損害』の賠償責任までは追及できません。範囲が広すぎるからです。一般に、不法行為に基づく損害賠償の範囲は、違法な行為との間に通常予期し得る(相当因果関係がある)損害の賠償に限ると考えられています」

――それでは今回のような場合、賠償は認められる?

「認められないでしょう」

――なぜ?

「そもそも、今の緊急地震速報は完璧ではありません。測定や予測に誤りはつきものですし、誤りが生じる原因もシステムの不具合だけではありません。

しかし、だからといって止めてしまえというわけにはいきません。地震多発国である我が国においては、地震による災害を減らし安全を確保するために、国には早急に緊急地震速報の利用を国民に促す公益上の要請があるからです。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。23万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・口コミ弁護士検索でお悩み解決。他にも弁護士費用の見積比較・法律Q&Aなどの豊富なサービスとコンテンツで「インターネットを通じて法律をもっと身近に、もっと便利に。」

トピックスRSS

ランキング