19歳巡査の「実名・顔写真」公開捜査、少年法に反しない? 警官射殺後、銃を持ったまま逃走
弁護士ドットコムニュース / 2018年4月20日 10時2分

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滋賀県彦根市の県警彦根署河瀬駅前交番で4月11日、41歳巡査部長が拳銃で撃たれ死亡した事件。事件発覚後に同僚の19歳巡査がパトカーで逃走、滋賀県警は殺人容疑で巡査を指名手配した。巡査は弾が残っていると思われる拳銃を持っていたため、住民の安全を考慮。未成年にもかかわらず実名や顔写真を公表するという、異例の公開捜査に踏み切った。
そのため「重大事件」として、NHKなどのテレビ局や新聞社のニュースサイトでは、一時、巡査の実名や顔写真が報道された。巡査が翌日未明に身柄を確保、逮捕されたことから、報道各社は現在、匿名に切り替えている。しかし、一度テレビやネット上で公開されてしまった実名や顔写真は、まとめサイトなどに残り続けている状態だ。
今回のような緊急を要する住民の安全確保と少年法で守られる範囲は、どのようなバランスにあるのだろうか。神尾尊礼弁護士に聞いた。
●拳銃を持ったままの指名手配犯を近隣住民に知らせる必要性は高い今回、容疑者が19歳にもかかわらず、顔写真や実名が公開された。少年法に抵触しないのだろうか。
「少年法61条は、『家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者』については、実名や容ぼうなどで本人だと分かってしまうような記事又は写真を新聞などに載せてはいけないとされています。条文としては家裁にまで達している少年を対象としていますが、その前段階である捜査中の少年(報道でいう『容疑者』)の段階でも、この法の趣旨は妥当し、実名報道などはしてはいけないと考えられています。
したがって、本人と分かるような報道(実名や顔写真)は、原則として少年法61条の趣旨に抵触すると考えられるでしょう。
もっとも、表現の自由との関係があり、全く実名報道ができないというわけではありません。両者のバランスを考える必要があります」
では、拳銃を持ったまま逃走している容疑者の公開捜査と、少年法で守られる範囲は、どちらが優先されるのか。
「例えば、堺通り魔殺人事件の控訴審(大阪高判平成12年2月29日)(編集部注)などでは、このバランスとして (1)表現行為が社会の正当な関心事であり、かつ (2)その表現内容・方法が不当なものでない場合には、違法とはならないとしています。このように、(1)どのような事件なのか、(2)その表現方法などはどうなのかの2点からみていくのは、概ね一般的に認められる指標といえそうです。
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