児童ポルノブロッキング、プロバイダーは訴訟リスク抱え運用…JAIPA立石氏「カジュアルにはできない」

弁護士ドットコムニュース / 2018年5月1日 9時7分

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「漫画村」などの海賊版サイト対策として、政府がISP(インターネッサービスプロバイダー)に対してブロッキング(接続遮断)の協力を呼びかけた問題。ユーザーの「通信の秘密」を侵害する恐れがあると専門家から指摘を受けながらも、NTTグループが3つの海賊版サイトのブロッキング実施を発表した。これに対し、埼玉県の弁護士が差し止めを求める訴訟を起こすなど、議論は激しさを増している。

では、実際にブロッキングを行う立場にある事業者はどのようにこの問題をみるのか。現在、唯一国内で行われている児童ポルノサイトのブロッキングに協力してきた一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の立石聡明副会長にインタビューした。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●事業者が自らの費用と自らのリスクで行ってきた「児童ポルノ」ブロッキング

ーー現在、行われている児童ポルノと海賊版サイトのブロッキングは何が違う?

「そもそも、サイトブロッキングは法的にも技術的にも、カジュアルにできるものではありません。しかし、児童ポルノの場合は、その被害が深刻な人権侵害だという認識が我々にはあるから実施しています。事業者が自らの費用で、リスクを負ってでもやるべきだと思っているからできるわけです。それと、今回のサイトブロッキングを同列に並べてはいけません」

ーー事業者には、どのようなリスクがある?

「児童ポルノをブロッキングするという話が持ち上がった時、今と同じように、法曹界を中心に『通信の秘密』を侵害するのではないかという議論がありました。何年も議論して体制を整え、児童ポルノのサイトブロッキングは『緊急避難措置』としてユーザーの同意が得られるとして、実施されることになりました。しかし、万が一、ユーザーから訴えられたら、事業者は負ける可能性があります。なぜ訴訟になっていないのかというと、『俺に児童ポルノを見せろ』といって訴える人がいないから、というだけです。ですから、事業者にとってブロッキングはギリギリの選択なのです。

ところが、海賊版サイトは違います。例えば、カドカワが儲かろうが、損しようがまったく関係のないユーザーが大勢います。ユーザーの『通信の秘密』が侵害されますが、ブロッキングに協力してくださいと聞いた時、ほとんどの事業者は協力しないのではないでしょうか。海賊版サイトのブロッキングで、『全ネットユーザー1億人の同意は取れますか?』ということです」

●児童ポルノのブロッキングはユーザーとプロバイダーの協力で成立

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