多摩市保育園「市職員の子」優遇問題、「禁じ手」にメスが入るか…裁判の風向き変わる

弁護士ドットコムニュース / 2018年7月12日 15時53分

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東京都多摩市の認可保育園に、市職員の子を優遇して入園させたとして住民訴訟になっている問題が新たな局面に入りそうだ。これまでは訴えが適法ではないとして、被告である市は「門前払い」の却下を求めていたが、裁判長の訴訟指揮で中身の審理に道が開けつつある。原告が主張する「多摩市の違法行為」について、市は真正面から反論する必要が出てきた。

●原告男性「過去に断った家庭に説明つかない」

原告は40代の現職多摩市職員(男性)で、かつて保育行政を担当する子育て支援課に在籍していた。厳格なルールのもと、子どもを預けたい保護者に公平に向き合い、泣かれたり怒られたりした経験がある。それだけに「職員の子を優遇することは過去に断ってきた家庭に説明がつかない」と問題を追及する考えだ。改めて、今回の問題の経緯を以下に整理する。

・2014年11月、多摩市の子育て支援課長が、認可保育園に市職員の子ども(0歳児)の入園を求め、保育園側がいったん断ったのに最終的に入園させた(同年12月。他に入園できる点数が高い子どもがいたとされる)。子どもの両親はともに市職員で、母親が重い病気を患ったため父親が上司に相談したことがきっかけという。母親はその後、亡くなった。

・保育園側が断ったのは、定員をオーバーすると市の補助金を受ける基準を満たさないため。ところが、課長は補助金を4カ月にわたって計約456万円支出。その後、市は補助金支給に関わる要綱で「5平方メートル」としていた部分を「おおむね5平方メートル」と改正。さかのぼって適用することにし、課長による補助金支出を「追認」した。

・市は2016年9月、課長が慎重な手続きを怠り、経過記録の作成も怠ったなどとして、懲戒処分(戒告)にした。今回の裁判で原告は、約456万円の補助金は違法な公金の支出であると主張し、市が補助金の返還を保育園に求めるよう請求。市は「適法な住民監査請求を経ていない今回の住民訴訟は、すみやかに却下すべき」としている。

●「風向きが変わった。裁判に明るい兆し」

2017年10月の提訴以降、これまでに数回の期日があったが、市は中身の審理に入らぬよう却下判決を求めてきた。事後的に要綱を改正して問題をなかったことにするような「禁じ手」について、やり玉にあがるのを避けたかったためとみられる。だが7月12日に東京地裁であった弁論で、「風向きは変わった」と原告代理人の加藤博太郎弁護士は感じ取った。

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