性別変更した夫が訴える「親子関係」 妻が子どもを生んでも「嫡出子」にできない?

弁護士ドットコムニュース / 2013年10月18日 16時20分

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「結婚後に妻が妊娠・出産した子ども(次男)との『親子関係』を認めてほしい」。性同一性障害(GID=Gender Identity Disorder)のため、女から男へ性別変更した男性の訴えはこのほど、大阪家裁に退けられた。

生殖医療が著しく進歩する中、「親子とは何か」という問いへの答えは、しだいに明確ではなくなってきている。この男性の妻は第三者からの精子提供により次男(1歳)を生んだが、役所に「非嫡出子」と扱われ、戸籍の父親欄は空欄だという。性同一性障害のために女から男へ性別変更した人は、結婚しても「自分の子」をもつことが許されないのだろうか。

現実の動きに、法整備が追いついていないという指摘もあるようだが、そんな中で出てきた今回の判決を、どのように考えればいいのだろうか。裁判のポイントについて、打越さく良弁護士に解説してもらった。

●妻が婚姻中に身ごもった子は「夫の子」と推定されるのが原則

この裁判のポイントを理解するために、まず踏まえるべき点が、2つあるようだ。

「一つめは、2004年施行の『性同一性障害特例法』によって、GIDを理由とした性別変更が認められるようになったこと。

もう一つは民法772条1項により、《妻が婚姻中に身ごもった子は、夫の子と推定される》ことです」

打越弁護士はこう切り出し、次のように続ける。

「裁判の争点は、GIDで男性へと性別変更した人が女性と結婚した場合に、民法772条1項の『嫡出推定』が適用されるのかという問題でした」

結論として、今回の判決では男性の訴えが退けられた。つまり、772条1項は適用されなかったわけだが、それはどうしてだろうか?

「母が、原告の男性との性的交渉により子どもを懐胎することが不可能であったことは、戸籍の記載自体から明らかなので、民法772条1項の推定は及ばない。大阪家裁はそう判断したのです」

言い換えると、夫が性交渉によって妻を妊娠させる可能性がなければ、民法772条1項の推定は適用されない、というロジックだろう。判決は、夫以外の精子で妻に人工授精を行う『AID(=Artificial Insemination by Donor)』の場合には、この民法の推定は働かないという判断だ。

●弁護士の間でも「判決への評価」は分かれている

この判決は、専門家の間でどう見られているのだろうか。打越弁護士は次のように指摘する。

「実務上は、夫の生殖能力が不十分で、第三者からの精子提供を受けて妻が妊娠出産するAIDの場合は、民法772条1項の適用を受け、子は『嫡出子』として扱われています。

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