受動喫煙から逃げられない 職場の「名ばかり分煙」がもたらすリスク

弁護士ドットコムニュース / 2018年11月24日 9時58分

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タバコの煙に困っているという相談が、弁護士ドットコムにいくつも寄せられている。ある相談者の場合は、会社の喫煙所に特段囲いがされていないため、誰かがタバコ休憩をするたびに煙に悩まされているという。自らもかつて喫煙者だったが、病気をきっかけに数年前にタバコをやめており、受動喫煙で健康を再び害さないか心配している様子だ。

また、喫煙者ばかりの職場で働いているという別の相談者の場合は、「分煙とは名ばかりで部屋の隅で吸う感じ」になっているという。換気のために扇風機を回すことをあまり許してもらえず、寒さを理由に窓を開けることもあまり認めてもらえないと困っている。

受動喫煙の問題に対応するため、会社や上司はどのようなことをするべきだろうか。また受動喫煙の被害を訴える側は、どのような請求ができるだろうか。杉山和也弁護士に聞いた。

●改正健康増進法、2020年4月に全面施行

ーー受動喫煙を理由に、適切な分煙・禁煙などの措置を求める労働者らに対し、使用者側はどのような対応をする必要がありますか

「労働安全衛生法においては、事業者は、労働者の受動喫煙を防止するために、その会社と職場の実情に応じて、適切な措置を講ずるよう努めることとされていますが、具体的にどのような対策を講じるべきかについては、その判定は容易でありません。

もっとも、2018年7月に成立した改正健康増進法(2020年4月に全面施行)においては、学校や病院をはじめ、多数の者が利用する施設について、屋内は原則禁煙になりました。

今後は、従業員に対する受動喫煙対策として、喫煙室や排気装置の設置などハード面の対策、勤務シフト・店内レイアウト・サービス提供方法の工夫、従業員への周知方法などについてガイドラインが策定されるため、これが一定のルールになっていくと思われます」

●損害賠償の対象となる可能性

ーー不十分または何ら対応が取られない場合、労働者らはどのような手段を取ることが考えられますか

「事業者として適切な措置をとらなかった場合、従業員に対する安全配慮義務違反として、損害賠償の対象となる可能性があります。

受動喫煙によって疾病を生じたのであれば、その治療費を請求することができますが、自らの疾患と受動喫煙との間の因果関係を立証する必要があり、現実的な解決としては、行政機関への相談が良いのではないでしょうか」

ーーたとえば喫煙者ばかりの職場にいる非喫煙者としては、喫煙者特有の匂いについても嫌だと感じるかもしれません。そうしたことを理由に異動を願い出て、認められることはあるでしょうか

「同僚のタバコの匂いが嫌だという理由で異動が認められる可能性は低いと考えられます。席を離してもらう、空気清浄機を設置してもらうといった現実的な対応が良いのではないでしょうか」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
杉山 和也(すぎやま・かずや)弁護士
労働事件を中心に、中小企業の法務、相続、離婚に注力。特に、解雇・パワハラ・セクハラ問題について取扱多数。「オーダーメイドの法律事務所」として、一人ひとりの依頼者に寄り添いながら、ぴったりの解決方法を提案することをモットーとしている。

事務所名:鳳和虎ノ門法律事務所
事務所URL:http://www.houwatoranomon.com/

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